スポーツ吹矢の大会(第7回青柳杯・個人戦男子の部)で全国優勝した 田村 博雄さん 粟田在住 70歳
「吹矢漬け」に充実の日々
○…長さ120cmの筒にビニールフィルムの矢を入れ、10m先の的をめがけて一気に息を吐く。スコンと音を立ててど真ん中に刺さった時の快感は何ものにも代えがたい。全国から約600人の高段者が集まり先月開催されたスポーツ吹矢「青柳杯大会」に初出場し、初優勝という快挙を成し遂げた。「肝っ玉が小さいので、予選の最初の頃は緊張して手が震えました」と冗談交じりに振り返るが、競技では尻上がりに調子を上げた。終わってみると、表彰台の一番上でガッツポーズをしていた。
○…知人の紹介でスポーツ吹矢と出会ったのは5年前。会社を退職した頃だった。狙って打つ楽しさと、的に命中した時の爽快感で、すぐにのめり込んだ。必要とするのは集中力。「イライラしていたり悩み事があったりすると、良い結果は出ません」。腹式呼吸を取り入れることで、健康にも効果があると言われている。今では「吹矢漬け」の毎日だ。
○…振り返れば、現役時代は仕事人間だった。朝は野比駅から5時台の始発電車に乗り、川崎まで出勤。夜のシフトの日には、会社に寝泊りすることもあったという。退職して、ようやく持てた自分の時間。熱中できることを見つけた喜びを噛み締める。「どこにどんな出会いがあるか分からないものですね」と感慨深げ。空いた時間には、畑で野菜作りにも精を出している。「暑くなるとトマトやきゅうりが採れます。夏はまた忙しくなりそうです」。充実した表情で語る。
○…約90人が在籍する吹矢協会の横須賀支部長を務める。小学校のクラブをサポートしたり老人ホームに慰問をしたりと、活動の幅は広い。子どもからお年寄りまで、誰でも楽しめるスポーツだという。全国優勝を果たしたことで、今度は追われる立場になったが、横須賀から「第2・第3の優勝者を出したい」と意気込む。次なる狙いは、もう定まっている。
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