▽逗子市議会議員の新たな顔ぶれが決まった。表立った争点がなく、新人も多く出馬した今回の選挙結果は見通しが難しかった。世代交代の波に乗って若手候補が台頭するのか、特定の政策が支持されるのか、はたまた前回選挙のように政党の追い風が吹くのか―。蓋を開けてみるまで分からない、というのが正直なところだったが、大きな波乱はなかったように思う。一方で、予想外の点もあった。
▽一般的に、定数を上回る激戦では現職や政党候補有利に働く傾向がある。争点を欠いた場合に票が割れ、有権者の選択の基準が議員個人や政党としての実績に集中するからだ。実際、現職候補らは選挙期間中これまでの実績を声高に訴え、出馬した13人全員が当選。無所属の新人で当選したのはわずか1人だった。一方、政党の別では前回とがらりと様相が変わった。
▽夏の国政選挙の前哨戦と目された2010年の市議選では、みんなの党への追い風が吹き公認候補2人が2千票を超える得票で1、2位を独占。推薦候補も当選を果たし、擁立した3候補全てが当選した。自身の”お膝元”でもある浅尾慶一郎幹事長(衆院4区)は今回選挙でも候補を擁立したが、3人のうち新人2人が落選。自民党候補3人全員が当選したのに対し、党の失速感を漂わせた。
▽政策面でも、今回の選挙結果で象徴的だったことがある。逗子海水浴場の規制に賛成の立場で、自らを「海岸議員」と称して選挙戦を展開した菊池俊一氏と「海浜文化の創出」を理由に先の定例会で唯一規制反対の立場を示した松本寛氏が得票数で真っ向対決。結果は松本氏が1位、菊池氏が2位だった。序列はさておき、海の問題が市の最大の課題であることが改めて浮き彫りになった格好だ。
▽また選挙期間中、有権者に選択の基準を尋ねたところ福祉という言葉が多く出たのが印象的だった。少子高齢化が進み、今年中にも65歳以上の高齢者が人口の30%を超えるとされる逗子の市民にとっては、医療や介護などの問題は切実な関心事であったに違いない。
▽当選者らは今何を思うだろうか。結果に安堵しているか、間もなく始まる任期に身を引き締めているか。福祉をはじめ、現在市には行財政改革、子育て支援、防災対策など課題が山積する。市議は市民の代表として選ばれた行政の監視役。18人の当選者におかれては今後4年間、厳しい視点でその職責を果たされることを期待したい。
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