逗子・葉山版 掲載号:2020年1月1日号 エリアトップへ

よみがえる1964年 2度目の五輪がやってくる 運営委員と聖火ランナー経験者に聞く

スポーツ

掲載号:2020年1月1日号

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 1964年に開催された前回の東京五輪に深く関わった人が逗子と葉山にいる。1人はセーリング競技の運営員、もう1人は聖火ランナー。2人にかつての様子を聞いた。

「ヨットが普及する転機になった」セーリング競技の運営委員を務めた田嶋進さん(逗子市)

 逗子ヨット協会の立ち上げメンバーで、長らく理事を務めた田嶋進さん(85)は、前回大会のセーリング競技に運営委員として携わった。当時、大学のヨット部でコーチを務めていたことから、声がかかったという。

 「前日まで雨だったがレース当日は快晴になった」と昨日のことのように覚えている。しかし、ヨットがまだまだ普及していなかった時代。会場は熱気に包まれていたとは言えなかったようだ。「レースが始まると船は遥か遠くへ行ってしまうので、観客はほとんどいなかった。うちの母親はしばらくヨットのことをボート競技と勘違いしていたほど。関係者くらいしかいませんでした」

 田嶋さんは支給された制服に身を包んで本部船に乗り込み、海上で審判員を務めた。報酬はゼロだったが、制服やカッパをもらえたことは良い思い出だ。

 64年大会が現在の日本セーリング連盟の前身である日本ヨット協会の設立のきっかけとなり、全国に支部が誕生して競技が普及する流れを作った。田嶋さんも逗子ヨット協会を友人らと立ち上げ、当初10人だった会員は現在120人に増えた。2006年からは神奈川県セーリング連盟の理事を務め、17年には競技の普及発展に寄与したとして表彰を受けた。

 「できたらまた会場に行きたい」。今度の五輪は、1人のヨットマンとして観戦することを楽しみにしている。「スタートで勝負が決まると言われるほど、ポジション取りや風を読むことが大事。50〜100艇が一斉に走り出す光景は壮観ですよ」

「2回も見られるなんて幸せ者だ」聖火ランナーとして葉山町内を走った池田善生さん(葉山町)

 「高く上げないといけないからトーチが案外重くてね。沿道はすごい人だったと記憶しているけど、なにより飛んでくる火の粉が熱くて大変だったよ」。葉山町の池田善生さん(73)は、あの日のことをこう振り返った。横須賀高校の生徒だった1964年の夏、聖火ランナーとして町内を駆け抜けた。

 現在のように、一般募集や選考はなかったという。「なんでおれになったか今でもわからない。やんちゃ坊主で運動は得意だったから、先生か誰かが推薦してくれたのかな」と笑いながら語る。

 当時、ヨットにも親しんでおり、世界各国の選手たちを見ようと江の島まで観戦に行ったという。その際、本部船に乗せてもらい、海の上から間近にレースを見られたことが印象に残っているという。「おおらかな時代だった。今じゃ考えられないけど、ヨットに乗る人間が珍しかったんでしょう」。その後、大学では文学に傾倒し、遠藤周作が創刊した文学雑誌の制作に携わった。会社員を定年まで勤め上げ、64歳で念願だったという漁師に転身した。「もともと海が好き。今の仕事は最高に楽しい」と充実した表情を見せる。

 「漁師部屋」として使っている自宅の一室には、床の間にトーチが置かれ、日の丸がプリントされた真っ白なランニングシャッツが吊るされていた。当時使ったもので、母が大切に保管していたという。「持っていたのを知らなかったから、見つけたときはびっくりした」

 スポーツ観戦が趣味で、今回の大会も宮城県で行われるサッカーのチケットに当選した。「まさか人生で2回も五輪を見ることができるなんて」。今からその日を心待ちにしている。

(写真上から)レースの様子(=提供:本人)、本部船で仲間とともに審判を務めた(=同上)、当時の写真を見ながら振り返る田嶋さん
(写真上から)レースの様子(=提供:本人)、本部船で仲間とともに審判を務めた(=同上)、当時の写真を見ながら振り返る田嶋さん
(写真上から)聖火を持って現在のエコーハイツ前を走る池田さん(=提供:本人)、トーチとランニングシャツ、現在は漁師の池田さん
(写真上から)聖火を持って現在のエコーハイツ前を走る池田さん(=提供:本人)、トーチとランニングシャツ、現在は漁師の池田さん

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