まちづくりの未来の担い手を育てようと逗子市はこのほど、「サーティーズプロジェクト」を始動させた。これまで地域との接点を持つ機会が少なかった30代の若者同士で繋がりを作り、市と協働で逗子の新たな魅力を再発見しようという取り組みだ。全3回の内、これまでに2回が行われ、12月にはプロジェクトから生まれた企画を発表するフォーラムも予定されている。
若い力、まちづくりに活かせ
逗子市ではこれまでも市民が積極的にまちづくりに関わってきた。現行のまちづくり基本計画の策定に市民が携わっているほか、その後も「ほととぎす隊」としてまちの文化振興や環境保全などに寄与。市民には著名人や企業の一線で活躍していた人も多く、市は”人財”を活用した政策を進めてきた。
その一方、まちづくりに参加する市民には現役を退いた高齢者が多く、次世代の担い手の育成が課題に。今回のプロジェクトに参加する市民は行政からすればまさに”金の卵”というわけだ。
参加者にもメリットがある。働き盛りの30代にとって、まちとの接点は持ちづらくプロジェクトを通じて人のネットワークを作れるほか、まちのことを知るきっかけにもなる。参加者のひとりで5年前に逗子に越してきたという安保俊一郎さんは「住んでいても知らないことだらけだったが、とても勉強になる」と話した。
2回目の会合が行われた8日、市民交流センターには若者が続々と集まってきた。この日のテーマは「逗子の面白い『現場』を訪れる」。参加者らは「生活」「環境」「子育て」などのグループに分かれ、人口や市内の事業所数などのデータをもとに意見を交わした。その後まちの生の声を聞くため現場へ。新逗子通りの居酒屋を訪問した一行は、商店主らから商店の運営や商店街ぐるみのまちおこしイベントなとの話に耳を傾けた。参加者のひとりは「商店主の生の声を聞く機会はない。想像以上に面白かった」と口ぶりに熱をこめた。
「大事なのはまちづくりの『同級生』を作ること」と話すのはプロジェクト代表の田中美乃里さん。「学生の時に文化祭や体育祭とか、ひとつのものを一緒に作るとその繋がりが後にも生きる。今回の企画をすぐに花開かせるのは難しいかもしれないが、中長期的な種まきになれば」。
参加者に共通していたのは、誰もが真剣にまちの将来について話し合っていたということ。若さもあり、意欲もある。重要なのはそれがどれだけ継続できるかだ。プロジェクトはその道しるべとなるか。
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