逗子市5軒に1軒が空き家
所有者による管理が行われない住宅が増加し、地域の過疎化や退廃の要因となっている「空き家問題」が全国的に深刻化する中、首都圏からほど近い逗子市や葉山町でも近年、空き家が増加傾向にある。
総務省が5年に1度行っている統計調査によれば、2008年時点での逗子市の空き家率は22・9%、葉山町は18・1%。逗子市は県下2番目、葉山町は次いで3番目で、両市町とも全国平均13・1%、県平均の10・5%を上回る。逗子市に限れば単純計算で5軒に1軒が空き家という計算だ。総務省が1958年以来調査を始めて以来、空き家率は増加の一途を辿っており、今後両市町でも数値が上がっていくことが予想される。
空き家が増加する背景としては、高齢化に伴う人口減や新規の住宅の増設、過疎化などがあげられる。逗子市の高齢化率(65歳以上の人口が占める割合)は昨年3月時点で県下2番目の27・9%。独居や高齢者だけの世帯の世帯も多く、死亡または施設に入所するなど何らかの理由で所有者が不在になったまま空き家となるケースも多いようだ。
両市町はかねてより避暑地、保養地として親しまれていることもあり別荘も多い。管理された建物は空き家問題として取り沙汰されることはないが、一方で問題となるのが所有者による管理が行われていない建物の増加。地域における防犯や防災の安全性が危惧されるだけでなく、地域コミュニティの分断にも繋がるとの見解もある。だが建物は基本的に個人資産であることに加え、外見だけでは廃屋かどうか判断がつかず、行政は手をつけられないのが現状だ。
そんな中、空き家問題を地域自治の問題として捉え、住民主体で解決しようという動きもある。小坪在住の建築家、日高仁さんは両市町の空き家を利活用する「空き家再生プロジェクト」を提唱する。再生利用案のイメージはこうだ。例えば所有者の方の替わりにNPOなどが『家守』として空き家を管理し、地域のイベントスペースやゲストハウス、シェアハウスとして貸し出す。人が入ることでセキュリティ面が担保され、経済需要も作り出すことができるというわけだ。「実際、地方の観光地では成功事例もある。実施には仕組み作りが必要だが、地域活動に広がりを生むきっかけにもなる」と日高さん。
所有者の理解や協力団体との橋渡しなど課題はあるものの、普及すれば問題解決の糸口ともなりそうだ。
逗子で“空き家ツアー”
「第1回空き家・古民家ツアー」と題したイベントが先月27日に逗子文化の会の主催で行われた。古民家の活用や住んでみたい人の情報交換を目的に企画。初の開催に約40人が参加するなど関心の高さを伺わせた。参加者らは旧柳家旅館や旧脇村邸、蘆花記念公園休憩所などを巡った。ツアーでは、市内古民家の調査報告や、倉敷市や尾道市の古民家活用事例の紹介なども行われ、参加者らは興味深々に聞き入っていた。
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