「競技のすそ野広げたい」子どもたちへの指導にも熱
世界で活躍する逗子在住の高校生プロウインドサーファー杉匠真くん(16)が、2018年の年間王者(17歳以下)に輝いた。初めてワールドカップで優勝するなど、目覚ましい活躍を見せた昨年。視線は既にプロクラスの頂点を見据えている。一方、地元の逗子海岸では子どもたちの指導に当たり、競技のすそ野拡大にも力を入れている。
大きな成長を実感した年だった。海外の大会に出場するようになって2年。8月にスペイン・カナリア諸島で開催されたPWAワールドカップで初優勝し、10月にハワイで開かれた「アロハクラシック2018」でも頂点に立った。17歳以下の世界トップクラスの選手たちが競う中、主要な4大会のうち、2つで優勝を収め、見事年間チャンピオンの称号を得た。
逗子で生まれ育った。父・純太郎さんの影響で幼少期から逗子海岸でウインドサーフィンを始め、小学生時代は全日本ジュニア選手権6連覇。中学1年生から海外の大会に出場するようになり、3年生から国内最年少プロとして活動を開始した。現在は国内外のプロツアーを転戦。プロクラスにも挑戦している。
特に、ハワイ大会での優勝は大きな自信につながった。多くのウインドサーファーは体の向きが決まっている。これは、ホームとする海で吹いている風向きによるものだ。しかし、場所が変われば風も変わるため、ホームでは圧倒的な強さを見せていた選手が、別の大会では振るわないということがよくあるという。
杉くんはもともと、左を前にするスタイル。しかし、世界を転戦するなかでここを課題と捉え、静岡県御前崎市の海で練習を積み、どちらのフォームでも戦える準備を進めていた。
そして迎えた大会当日。「リラックスして、純粋に楽しめた」と語るように、練習の成果を発揮。それまでとは体の向きを逆にしても、世界で戦えることを証明した。「オールラウンドでやれる選手は世界でもほんの一握り。年間を通じ、世界中の海で開催される大会で良い成績を残すには必要な技術なので、これからも練習を重ねていきたい」と前を見据える。
地元での活動にも力を入れている。秋の逗子海岸を彩る「ナイトウェーブ」では、仲間とともに夕暮れの海でデモンストレーションを披露。「ウインドサーフィンを多くの人に知ってもらえるチャンス」と、大人にまじって実行委員会に出席し演技内容を提案するなど、積極的に関わっている。
もう一つ力を入れているのが子どもたちへの指導だ。
純太郎さんがコーチを務めるマリーンブルー(新宿)のジュニアユースクラブ。ここでは、「放課後でも海に入れる」ことを掲げ、小学生を中心に約15人が通う。「準備や片付けに時間がかかるため、ウインドといえば休みの日に楽しむ人が多い。しかし、それだとなかなか子どもたちは定着しない。やりたいと思ったとき海に出れるよう、体制を整えました」と語る。11月には「運動会」を開催し、親子約30人が海や砂浜で遊びまわった。杉くんはみんなの兄的存在で、「子どもたちに教えるのは楽しいし好きです」と笑顔。保護者の1人は「世界で活躍する選手に教えてもらえるのは逗子ならではのことで嬉しい」と話していた。
今後の目標を聞くと、「一つはプロクラスで正真正銘の世界一になること。もう一つは、ウインドサーフィンの素晴らしさをここ逗子から発信して、多くの人に楽しんでほしい」と力強く語った。
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