港町・三崎。郷愁漂う商店街の一角、長らく貸店舗だった築50年の元呉服屋が、「あえり庵(あん)」と名付けられたシェアハウスに生まれ変わった。屋号は、空や空気を表すフランス語「Aérien」から。空を飛ぶ鳥のような自由さ、肩書きや年齢による上下関係のない風通しの良い場に――との願いが込められている。
一般的な共同生活を送る定住型住宅ではなく、セカンドハウスとして機能。昨夏開所し、おもに都心に生活基盤を持つ20代〜70代の学生・会社員・経営者ら約25人の会員が、月1万円の家賃で気ままな“三崎暮らし”を満喫している。
開所のきっかけは、「ヨット仲間の拠点づくりだった」と代表の原田祐二さん。油壺のマリーナへ足繁く通うが基本は日帰りで、地域とのつながりを求めて、夜は三崎の飲食店で居合わせた客と酒を酌み交わすなどして拠点づくりの方策やあり方を模索してきたという。
立地は最寄り駅から路線バスに揺られること20分。となり近所にコンビニや娯楽施設はないが、都心にないモノがある。海と、人情と、うまい肴のある店と、ゆったり流れる時間だ。「地域の人とあいさつをしたり、子どもを可愛がってくれたり、些細な人づきあいが面白い」と原田さんは魅力を話す。
「活性化の一助に」
「シャッターをおろしていてはもったいない」。地域活性化の一助になればと、1階をリノベーション。不定期ながら、先月末には焼き菓子やコーヒー豆・アート作品などを販売する店舗兼サロンをオープンさせた。ゆくゆくはカフェ営業や貸し会議室といった展開も視野に入れており、活用方法に知恵をしぼっている。
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