40周年を迎える平塚写真連盟会長 熊澤 康正さん 伊勢原市在住 74歳
ファインダー越しの芸術と懐旧
○…教員生活を終え、余暇の楽しみにとカメラを手にして以来、何気ない風景もファインダーをのぞけば芸術作品になると知った。「妻もカメラをやっているんだよ。撮影歴は私よりも長いんだ」。夫婦で撮影旅行に出かけるのが楽しみで、彫刻のような造形をつくりだしている中国・元陽の棚田にも夫婦で数回足を運んだ。
○…今年で40周年を迎える平塚写真連盟では会長を務め、90人を超える会員とともに、撮影会やコンテストを通じて技術の研鑽に励んでいる。創立以来、5年おきに市美術館で開催する写真展(8月9日〜14日)と、会員の写真を載せた記念誌の発行が一大行事。今年は「樹」を題材に、市の保全樹などを被写体とした500枚以上の写真から、厳選した作品を展示・掲載する。「都市化が進み、街には自然が少なくなってしまった。写真を通じて保全樹の存在を知ってもらい、平塚の緑を守る気持ちを伝えられたら」と話す。
○…写真だけでなく、将棋や磯釣り、家庭菜園など多芸多才な趣味人。週に3日はスポーツセンターで水泳や筋力トレーニングも欠かさない。「どれも気軽に続けられるし健康的。外に出かけるきっかけにもなるからね」と、悠々閑々な暮らしを満喫している様子だ。取材時にカメラを向けると「いつも撮ってばかりだから緊張しちゃうよ」と肩をすくめる。
○…「1つの被写体でも、撮る人によってまったく違う作品になるのが写真の魅力かな。それに2度と同じものは撮れないから、観察眼や感動する心を養わないと」。同時に、記録することの大切さもカメラから学んだ。「被災地で、がれきの中からアルバムを探す人がいたように、写真が心の支えになることだってある」と、2年前に亡くした愛犬の写真に目をやる。色あせることない思い出の集積が、かけがえのない財産だ。
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