処女小説『霊界旅行記 お父さんに会いたい!』(文芸社)を出版した 柳川 和久さん 北金目在住 39歳
生きる意味考える1冊
○…「人生とは一体何なのか、人は何のために生きているのか。だれもが一度は抱く疑問を、物語として一冊にまとめたかった」と、今年春に出版した著書を手に感慨深そうに語る。17歳の女子高生が、亡き父と再会するために霊界を旅するストーリー。思春期特有の微妙な距離感を埋められずに別れた父への思いや、霊界での出会いや体験から人間の「性(さが)」を突き付けられた主人公の心の成長を、ユーモアに富んだ世界観で表現した。
〇…小学6年生のときに授業で読んだ『蜘蛛の糸』(芥川龍之介)が、作家への興味を誘った。「これこそ、人の本質をついていると衝撃を受けた。自分もこんな作品を書いてみたいと心に誓ったのを、昨日のことのように思い出します」と振り返る。完成した著書には、人間の心に宿るエゴや「因果応報」といった思想を巧みに盛り込むなど、憧れの作品に対するオマージュともとれる描写が垣間見える。
〇…「何かに悩んでいる人、不安を抱えている人に、この本を読んでもらえたら嬉しい」。高校卒業後に社会に出るも、体調を崩して悲嘆にくれていた時期に作家の道を志した。「辛い経験を味わうことで、本当の自分と向き合えた」と、鬱屈とした日々を成長の糧に変えることができたという。物語の着想に役立ったのは、生活のなかで感じた思いを日々つづってきたノート。「もう、10年以上続けているのかな。本やテレビ、映画の感想でも何でもいいんです。論理的に文章を書くという力は、このノートのおかげで養われたのかもしれません」
〇…創作活動に携わることで、「自らを表現する」機会に恵まれたことが大きな収穫だった。処女作の完成に慢心せず、既に2作目の上梓に向けた準備を進めている。「次作はミステリー性を持たせた作品を書きたい。自分が生まれ育った平塚にちなんだ物語も面白いかな」とアイデアは豊富だ。
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