25周年を迎えた神奈川県しらす船曳網漁業連絡協議会の3代目会長 杉山 武さん 千石河岸在住 54歳
「湘南しらす」の誇り胸に
○…鮮度と品質で全国に知られる「湘南しらす」ブランド。”湘南しらすブーム”の立役者世代だという自負とプライドは会全体を盛り上げる原動力でもある。
○…戦後に発展した神奈川県のしらす漁。創成期を生きた親世代が築いた「品質徹底主義」は、今でも「しらす漁の基礎中の基礎」だ。神奈川のしらす漁は、漁師自ら品質を管理し加工まで行うのが特徴で、新参者にも漁の「秘密」を無償で伝授、船同士で漁中に海の情報交換を行うなど、同業であっても競い合いの風土はない。「量では企業船には勝てない。何なら勝てるか。鮮度と、品質へのこだわりだろう、と。湘南しらすを一つのブランドにするためには、足並みを揃えて成長することが欠かせないんだ」。身を乗り出し、話も熱を帯びる。
○…子どもの頃から漁の手伝いは日常茶飯事だったが、漁師の道ではなく、高校卒業後はビジネス系専門学校に進学、航空輸送エージェントの仕事に就いた。22歳、仕事を離れ帰宅すると、漁の準備の真っ最中。叔父の「船に乗ってけ、手伝え」の呼びかけに応え「それからずっと船乗り」と白い歯を見せる。「好きなことをやれって言ってくれる親父だった。『好きなことが分からない』と言ったら『遊んでろ』って返されて。じゃあ遊ぶぞ、ってね。でもその遊びが今、役立ってる」とにやり。今も「男は若い内に遊ばなきゃダメだ。外に出て世の中の仕組みを学ぶのも大切」が信条だ。
○…現在、叔父、いとこらと乗る「丸八丸」の船名は、父が屋号から取ってつけた。今年も漁が3月11日に解禁され、日の出から始まる漁と加工場の往復というハードな日々を送る。疲れを癒すのは家族で囲む食卓。鹿児島出身の妻の影響で飲むようになった芋焼酎も楽しみの一つだ。春に向け、漁はいよいよ最盛に向かう。「自慢の湘南しらす、是非食べて下さい」。全国の食卓に白く輝く海の贈り物を届ける。
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