神奈川県県土整備局からボランティア表彰を受けた 福田 春夫さん 南金目在住 83歳
気持ちは”生涯現役職人”
○…平塚と秦野を結ぶ県道612号線、南金目交差点にある歩道の植え込みを、20年以上ボランティアで手入れしている。「表彰の連絡がきた時は驚いた」と、照れくさそうな笑顔。「家から見える植え込みが不恰好になるのが嫌だったんだ。キレイにしておけば、自分でも見てて気持ちいいだろう」と話す背景には、かつて植木職人としてのこだわりがあった。
○…きれいな四角に刈り込まれた植え込みは、植栽された頃から手を入れている。よく見ると中央部が剪定され二柵に割れているが、これは職人ならではの腕を活かしたひと工夫。「一時期ポイ捨てが酷くて。これなら、中のゴミも楽に拾える」と説明する。この形に育てるためには、相当な時間をかけているそうだ。今は植え込み用に自分で購入したエンジン付きの植木用バリカンで、年に2〜3回刈り込んで手入れをしている。
○…平塚生まれの平塚育ち。今は夫人と2人暮らし。父も植木職人で、子供の頃から仕事を手伝っていた。「でも、植木が嫌で学校出てすぐ勤めに出ちゃったんだ」と笑う。植木職人の道に戻ろうと思ったのは、十七、八歳の頃。「歳をとっても続けるなら、やっぱり植木を仕事にしたい」と父の元に戻り、次第に植木にのめりこんでいった。「親父が居るときにいっぱしの職人になりたかった」と少し遠い目をしながら、父の背中を大きさを思う。
○…「植木をいじるのが好き」と話すように家には植木や植物が溢れ、キレイに手入れが行き届いている。現役を退いた今も知り合いに乞われて植木の手入れに出かけるそうだ。背の高い木でもハシゴで登るという現役顔負けの働きを見せる。「負けず嫌いだから、若い者に負けたくないんだよ。気持ちを若く持たなきゃ。植え込みの手入れも、体が動く限りは続けるよ」と語る表情からは、長年連れ添ってきた植木に対する愛情が溢れていた。
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