JR平塚駅の駅長に就任した 三ツ石 孝徳さん 静岡県裾野市在住 57歳
街の玄関守る鉄道員
○…今年６月、ＪＲ平塚駅の駅長に就任した。鉄道員の父の背中を見て育ち、高校卒業と同時に当時の国鉄に入社。生粋の鉄道マンだ。駅長を務めるのは、国府津駅、逗子駅に続き３駅目。「平塚駅は、東海道線の中でも乗降者数が多い主要駅です。責任は重い」と気を引き締める。
○…子供のころから電車が大好き。裾野駅近くで生まれ育ち、遊び場といえば、駅の構内にある丸太やセメントなどの集積場だった。小学校高学年の頃、蒸気機関車の最後の走りを見送った事は、今でも鮮明に覚えている。「駅は身近な場所でした。当時は、それくらいしか遊び場がなかったからね」。そんな子供時代を過ごし、国鉄への入社は自然な流れだった。最初に配属された二宮駅での２年半は、ひたすら掃除をする毎日。「早く車掌になりたい」と、ホームから電車を見送る度に強く思った。
○…「おはようございます」の声掛けは、鉄道員にとって大切な習慣。乗客と良い関係を築くことで、混雑時に協力してもらえるようになり、事故防止にもつながるという。藤沢駅から熱海駅に異動になった際、乗客から「最近見ないと思ったら、転勤していたんですね」と声を掛けられた事があった。「一生懸命やっていれば見ていてくれるんだと実感しましたね」と目を細める。平塚駅は市内にある唯一の駅。「街の玄関口として、行政としっかり連携をとっていきたい」。憧れの車掌になり、管理職を経て、駅長へと立場は変わるが、仕事に対する実直な姿勢は変わらない。
○…休日には、狩野川や丹沢へ出向き、一人で自由気ままに渓流釣りを楽しむ。青森県に年に１度訪れ、30センチものイワナやヤマメを釣る事もあるという。家族は、妻と娘、息子の４人。息子も鉄道マンの道を選び、今は新幹線の車掌を務めている。「俺も新幹線に乗りたかったんだよね」。父の夢を叶えた息子に、「悔しいよ」と頬を緩めた。
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