2月13日に中央公民館で上演する「湘南ひらつか能狂言実行委員会」の委員長 石川 幹夫さん 徳延在住 72歳
表現の美を後世に
○…敷居が高いと思われがちな能の舞台を多くの人に親しんでほしい。そんな思いから2年に一度の頻度で開かれてきた「湘南ひらつか能狂言」は今年8回目を迎える。2006年に実行委員会が発足して以来、舵取り役を担ってきた。今年は平塚で生まれ育ったとされる女性・虎御前をモチーフにした復曲能「和田酒盛」を上演。コロナ禍ではあるが「徹底した予防対策を前提に、伝統芸能の世界を楽しんで」と、会場設営や演者との調整など佳境を迎えた準備に熱を込める。
○…島根県に生まれ、高校までを地元で過ごした。関西学院大学を卒業後に就職。日産車体に勤めるため、平塚の地にやって来た。転機は職場の休憩中。先輩社員が、能で謡われる言葉や節付けを記した謡本を開いていた。美しい言葉や煌びやかな文章に魅了された。職場内にあった謡曲部の活動に参加する先輩の背中を追い、自身も謡曲を習うようになった。
○…演者たちの舞や謡、囃子などで構成される能の世界について、「そのどれもが美しく、人の心情の機微を品性を保ちながら表現するもの」と説明。「能という表現の美を後世に残していきたい」と真剣な眼差しで語る。実行委員会の委員長を発足当初から続けているほか、平塚謡曲連合会の会長も兼務。一方、70代となった今も横浜市内の会社に勤務するなど、多忙だが充実した毎日を送っている。
○…結婚を機に徳延へ移り、現在は妻や娘と暮らしている。4人の孫がいるといい、この時ばかりは真剣な表情も緩みおじいちゃんの笑顔。休日の趣味を尋ねると「能鑑賞と謡曲」と即答した。委員長や会長としての仕事はまさに天職。「能や謡の奥深さに限界はないね」。生涯をかけて伝統芸能に向き合う覚悟だ。
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