赤羽孝也(たかなり)さん 大磯町在住 56歳
夢へ努力 新たな人生の一歩
○…大磯町のギャラリーさざれ石で作陶展を9月18日(日)から27日(火)まで開く。下絵の具で彩色し、土の温もりを生かした作品およそ50点を発表。「風のきらめき」と題した2組の蓋物は「陶器と陶器の間を風が流れ、ぶつかり、きらめく。そんな自然の営みを表現した」という。作品テーマである「自然のリズムや生命力」は、同ギャラリーで明日から展覧会を開催する、妻で木版画家の智子さんのそれと共通する。今年3月まで小田原市や箱根町、真鶴町の公立中学校で美術教諭を務めていた。陶芸作家として新たな一歩を踏み出して初の個展だ。
○…陶芸を始めたのは20年ほど前。特別支援学級を受け持ち、「生徒たちに合うのでは」と陶芸を採り入れた。自ら平塚の工房に通い、技術を学んだ。「純粋な気持ちで陶芸に取り組む子どもたちから学ぶことが多かった」と語る穏やかな語り口に生徒思いだった教師像が浮かぶ。自宅に窯を設置してからは夜間や休日に作陶し、精力的に公募展へ出品。めし碗グランプリ展、ながさき陶磁展、朝日陶芸展、長三賞現代陶芸展などで入賞・入選した。
○…転機は50代半ば。考え抜いた末に退職を定年より5年早め、一念発起した。「5年で軌道に乗せ、60歳で一本立ち」を目指す。「家族の生活を支える役割を果たしながらも、夢をあきらめなかった」と智子さんも夫の努力を認める。東京造形大学絵画科卒業。日本クラフトデザイン協会会員。
○…長野県出身。川に潜って魚を捕まえたり、山で蜂の巣をつついたり、「ワイルドな遊び」もすれば、実家の店番をしながら粘土遊やブロック遊びに熱中した少年時代。油絵や骨董が好きだったという父の影響もあるそうで、「小学校4・5年生の時にやった陶芸が今の原点になったのかも」と振り返る。釣りが趣味。釣った魚を料理して自作の器で食べるとは、何と豊かなことか。「食いしん坊なだけです」と笑った。
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