平塚市の「湘南ひらつか太古の湯2階ギャラリー」で初の写真個展を開催している 森谷 茂之さん 大磯町在住 77歳
四季の美に魅せられて
○…初の写真個展に「幸せを感じる。今までの集大成を多くの方に見てもらいたい」と万感胸に迫る思いを語る。個展のテーマは『水と美』。10年間撮りためてきた風景写真から厳選した20枚が展示されている。
○…東京オリンピックが終わって間もない30代の頃、のめりこんでいたのはゴルフだった。地元でスーパーを経営し、仕事が終わると練習場。休日はコースと「どっぷりつかっていた」と苦笑い。クラブチャンピオンを獲得するなど名を知られる存在だったが、60を過ぎて転機が訪れる。腰と首を痛め、二度とコースに出ることが叶わない体になってしまったのだ。「悲しかった。でも、同時に何か生きがいを見つけなきゃとも思っていた」。苦しい時こそ心を強く。ゴルフで培った精神力が前を向かせる。そんな時に思い出したのが、結婚してから夫人との旅行先でよく撮った写真だった。
○…北海道から九州まで、丁寧に旅跡が書き込まれた日本地図の冊子にはどのページにも印がついている。海外にも足を運ぶ撮影旅行にはいつも夫人が傍らに寄り添う。「妻と写真を撮って回るんだよ」と満面の笑み。プロ写真家の吉村英夫氏に師事し学んだことは「質感を大切にすること」と、カメラのことになると表情がキリッと引き締まる。「年月を重ねた汚れや陰影をしっかり捉える。そんな写真は撮ったものが飛び出してくるような存在感がある」と身を乗り出す。
○…撮るのは主に日本の風景。「移ろう四季は本当に美しいよね」と目を細める。東日本大震災の1カ月程前に三陸を訪れ、漁船が揺らぐ港や熱気あふれる祭りの景色をカメラに収めていた。もう二度と見ることはできない姿を写真でなら再び見ることができる。吉村氏を通じて被災地に震災前の写真を届けたという。「これまでの歩みは、妻や子ども、先生、友人みんなの支えがあってこそ」と感謝を胸に、今日もファインダーから四季を切り取る。
|
|
|
|
|
|