大磯の湘南ギャラリーえんで「老梅焼」の陶芸展を開く 石川 秀隆さん 山梨県道志村に工房 73歳
一期一会の作陶を楽しむ
○…歳月を経た梅の木の肌のようなひびを入れた「老梅焼(ろうばいやき)」を作陶。ろくろを使わず、手びねりで生み出す作品は、窯の温度や煙、季節など様々な要素と絡み合い「一つとして同じものはできあがらない」という。釉薬にもこだわり、作品の方向性を決める釉薬選びに時間を費やすこともあるが、「流し掛け」という技法で、いざ釉薬を施す際は躊躇せず大胆。「決断と勢いが大切」なのだとか。「失敗は成功の母と思っていなければ陶芸家はやっていられない。考えすぎず、作陶も人生もマイペースで」と作品づくりを楽しんでいる。
○…三浦市で生まれ育った。幼少期は小6まで海に入らず磯遊びをしているほど体が弱かったが、高校で柔道を始めたことで改善。卒業後は横浜のブティックに勤め、入社3年で一店を任されるほど活躍したが、5年目に地元へ戻り自分の店を開いた。陶芸との出会いは55歳の時、作風が気に入って買い続けていた陶芸家から、自分でも作ってみないかと誘われ「試しにやってみたら楽しくなった」。そのまま弟子入りして作品づくりにのめり込み、老梅焼を考案。3年後に初の個展を開催してから様々な美術展で入賞し、海外からも高い評価を受けるようになった。2018年に英国王立美術協会の審査員特別賞を受賞、20年に名誉会員になっている。
○…2009年から山梨県の道志村に工房「蒼芒庵」を構えた。陶芸体験も受け付け、隣の山中湖村で陶芸教室の講師を務めることも。最近、工房の別棟で貸別荘を始めた。「暇つぶしだよ」と笑うが、利用する若者たちの「若い感性に触れられる」ことも大きい。「これからも他人が作らないような、新しくて夢のある作品を作っていきたい」と語り「マイペースでね」と付け加えた。
|
|
|
|
|
|