「お寺deライブ」を行う東光院の副住職を務める 大澤 暁空さん 大磯町大磯在住 28歳
お寺を「文化発信」の場に
○…荘厳な本堂に踏み入ると、凛とした静寂に包まれる。「昨年のジャズライブはここに約100人が参加したんですよ」。本堂の中心にグランドピアノなどを置き、ミュージシャンを呼んで生演奏のジャズライブを開催した。お寺とジャズ。一見接点がイメージできないが「意外に雰囲気に合って、多くの方に楽しんでいただけた」と満面の笑み。
○…4月6日に行われる今年のライブは、チベット民謡を披露する。「インドで生まれた仏教は、チベットなど大陸を経て日本にやってきた。仏教の源流に近く、お寺との親和性も高い」と話す。「昔から、お寺は仏教を広めるだけでなく、地域の教育や福祉、文化発信など公益的な活動も担っていた。他国の音楽という文化に触れてもらう場を作るのもお寺の役割だと思うんです」。地域のための寺院でありたい。そんな思いがまっすぐな瞳に滲む。
○…住職である父の背中を見て、幼少のころから大磯で育った。伝統あるお寺を後世に残し、自身を育ててくれた檀家や地域の人に恩返しをしたい。高校卒業の頃には、自分の進むべき道をはっきりと描いていた。「百年先、二百年先を見据えて続けていくためには、やはり地域に根差したお寺でないと」と、力を込める。
○…中学生の頃に父からもらったカメラがきっかけで、写真が趣味。進学した東京工芸大学でも写真を勉強した。仏門に入るため京都で修行し、大磯に帰ってきた時、葬儀でも自然と遺影写真に目が行く。「スナップ写真を無理やり拡大した遺影の方も多く、生前に良いお写真を残してもらえたら」と、特技をいかして自身の写真スタジオを立ち上げた。遺影の生前撮影はもちろん、最近では七五三や成人式の記念写真の依頼なども増えている。「その人の人生の節目に触れ合えるのは、嬉しいですよね」。伝統を守りつつも、時代にあわせて地域のためにできることを模索する。春の境内に、新たな息吹を感じた。
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