神奈川県弁護士会県西支部長に就任した 小室 充孝さん 小田原市在住 57歳
仏のように穏やかに
○…弁護士会県西支部には相模川以西18市町村の弁護士137人が所属する。社会で起こるトラブルの解決に当たる弁護士も、時代に即して変化していく。民事裁判のIT化や、2006年に全国的に始まった「労働審判手続」を小田原の裁判所でも行えるよう求めた意見表明をするなど「支部として大きく音頭をとることはできないけど、トレンドに合わせてやらなければならないことをやっていく」と責任感をにじませる。
○…小田原出身でサッカー少年だった。外向きの顔は穏やかだったが「内弁慶で兄とよく喧嘩をしていた」と笑う。父が教員で「勉強はするもの」と思って育った。小田原高校、早稲田大学と進学。公務員志望だったが、石川達三の『青春の蹉跌』や高橋和巳の『悲の器』の小説に登場する弁護士に魅せられた。「一匹狼でカッコいいイメージが強かった。当時はいきがっているところもありますから」。在学中に司法試験に挑戦するも不合格。卒業後も諦めきれず、小田原市役所に勤めながらコツコツと勉強を続けた。約15年後、ようやく地道な努力が実った。「よくモチベーションが持ったな」
○…息抜きは仏像彫刻。厄除けで参拝した大雄山最乗寺で仏像教室のチラシを見て勇気を出して入会した。彫っている間は「ほかのことを何も考えない。仏のように人相も良くなればいいですね」との淡い期待も。
○…地域に根付き幅広い案件を扱う「町弁」と自称する。当時憧れた小説に登場する専門性の高い弁護士とは異なるが「ただ何と言いますか」と一息置き「人に話すだけで不安が消えることがあるじゃないですか。ありがとうと言われるとうれしい」とやりがいと責任感を感じて社会に向き合う。
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