相馬に届く「推譲」の精神 報徳の森プロジェクトが始動
二宮尊徳の縁でつながりのある福島県相馬市への支援が、様々なかたちで続けられている。小田原市が窓口になり、相馬市へ送金を続けている「相馬市震災孤児等支援金支給基金」をはじめ、昨年末には地場産業を活用して被災地支援・応援を行う「報徳の森プロジェクト」が活動をはじめた。
山・里・川・海が近接する小田原の環境を生かし、相馬市を支援する「報徳の森プロジェクト」。9つの民間団体と小田原市が協働して実行委員会を立ち上げ、第一弾として12月17日にもみの木3本を届けた。実行委員長を務めるのは有限会社小田原植木(市内久野)の社長、近藤増男さん。もみの木はクリスマスツリーとして、相馬市役所に隣接したスポーツアリーナの広場に設置され、24日にテープカットが行われた。
相馬市の思いから、もみの木は「つながれ日本!報徳の樹」と名づけられ、復興のシンボルとする予定だ。報徳の森プロジェクトの最大の特徴は、報徳思想の「推譲」の精神とともに、支援を通して小田原の林業や経済を活性化させる点にある。放射能の影響で漁港の水揚げや木材の使用ができず、第一次産業が落ち込む相馬市に対し、今後は加工用の原材料を提供するなど産業の再生に向けた支援を行う。また、近藤委員長は「小田原の木材を提供し、公民館の修復や直売所、コミュニティ施設の建設なども行っていければ」と話している。
子どもたちも思い届ける
久野・矢作・片浦・早川小学校の児童たちから寄せられたクリスマスカード約1300通と、民間から贈られたおもちゃ、ケーキなども報徳の森プロジェクトを通し相馬市の子どもたちへ届けられた。また、先月28日には芦子小学校の5年2組の児童から小田原みかんが贈られた。総合学習の一環で被災地支援を考えていた児童らが市内早川の畑でみかんを収穫。農協青年部や近隣農家から集まった小田原みかんと合わせ、合計約3トンがボランティアの手によって届けられた。