大涌谷の噴火に伴う警戒レベルの引き上げにより、小田原も経済的に多大な損害を受けた。芸術文化創造センター建設の延期や、ラグビーW杯の日本代表合宿地決定など悲喜こもごもの2015年も残すところあとわずか。小田原の動向を追い続けた本紙では、激動の1年を振り返った。
芸術文化創造センターの整備は、東日本大震災や東京五輪による資材価格などの高騰を受け、当初見込んでいた建設費65億円では建設不可能として、完成がずれ込んだ(2月)。同センターは7月に行われた入札が不調に終わって工事が凍結し、2019年度中にさらにずれ込んだ。現在、民間企業の事業提案を受け入れる方向で進んでいる。
一方、13年に閉館した市内初のデパート・ベルジュが、トザンイーストとして11月末に生まれ変わった。また、小田原駅東口の再開発地区に「おだわら市民交流センターUMECO」が12月に開所するなど、小田原駅東口が大きく様変わりした。
国道135号線の根府川合流が1月に切り替えとなり、渋滞が頻発。市民からの要望もあり、3月には一部右折禁止箇所を設けるなどの対策が実施された。
4月には統一地方選が行われ、県議選では8年ぶりに無投票となり、小澤良央氏が初当選。市議選では定数28を31人が争い、5人の新人が当選した。しかし投票率は前回を3・29ポイント下回り、41・91%と過去最低を更新。
終戦70年を迎えた8月。被災者の声を聴き、戦争の悲惨さや命の尊さについて学び、平和について考えてもらおうと、市内の中学生22人が広島へ派遣された。本紙ではシリーズ『語り継ぐ戦争の記憶』として小田原市民が体験した戦争の記憶を綴った。
若者が活躍
スポーツでは、ラグビーW杯で日本代表が活躍し日本中が沸き立つ中、9月に小田原市ラグビーフットボール協会が発足した。
また、小田原の若者たちがさまざまな競技で世界へと羽ばたいた。7月には青木りんさん(相洋高2年)が世界ユース陸上競技選手権に、松下祐樹さん(23・国府津出身)が8月に世界陸上競技選手権大会に出場。
菅澤柚花里さん(富士見小6年)は卓球の「ITTFジュニアサーキット」の団体で2位、ダブルスで3位に入賞したほか、田中紗来さん(旭丘高1年)が「ワールドヒップホップダンスチャンピオンシップ」で金メダルを獲得した。
東京五輪の追加種目候補にあがるサーフィンでは鈴木姫七さん(城北工高2年)が10月に「ISA世界ジュニアサーフィンチャンピオンシップ」に出場した。