昨年末に開催された県高等学校総合文化祭「第26回郷土芸能発表会 和太鼓部門」で相洋高校を優勝に導いた顧問の小林悟教諭(54)。指導を始めて24年目を迎えた昨年、10回目となる全国大会へ導いた。
前任者の退職を機に、就任の依頼を受けた。「学生時代にドラムをやっていたという理由で任せられて。まいったよ」。しかし、「引き受けるからには」と持ち前の責任感の強さを存分に発揮し、長野県で太鼓の製作から作曲、演出まですべてを手がける北原永(ひさし)さんに指導を仰いだ。3日間泊まり込みでひたすら太鼓を打ち続け、「和太鼓のイロハを知ることができた」。その人柄にも魅かれたという北原さんを今も師として敬愛している。
「最初の5年は何も分からなかった」と試行錯誤を繰り返し、演出や作曲に全力を注ぐ日々。そんな折、1998年に神奈川で開催された国民体育大会開会式で演奏する機会に恵まれる。プロや他校の全国レベルの演奏を目の当たりにし、「やるからには上を目指そう」と全国への挑戦が始まったのはこの時からだ。
初の全国で2位
指導8年目で掴んだ初の全国大会。右も左も分からぬまま出場した大舞台を終えると、翌日の表彰式には参加せず、安堵感とともに一足先に帰宅の途についた。その翌日届いた吉報。「まさか2位に入るとは。無欲がよかったのかな」
4年前には悲願の全国制覇を果たし、相洋高校和太鼓部の名を全国に知らしめた。「全国大会の存在が生徒の目の色を変え、モチベーションを高めてくれた」
礼に始まり礼で終わる
「部活も芸能界と同じ。上下関係はもちろんあるし、生活態度も徹底させている」。舞台上では演奏技術だけでなく、日頃の姿勢まですべて表れるからだ。「最初の頃は厳しくやってきたけれど、先輩たちが築いた伝統を今の生徒が引き継いでくれているから、細かく言わなくなったよ」
『心から拍手を頂けるような態度と演奏をしよう』をテーマに、筋力トレーニングや持久走にも取り組む日々。和太鼓の最大の魅力と語る「革と革の共鳴」を求め、これからも魂を打ち込んでいく。