ベスト介護 市内で2施設 東洋会と潤生園
介護サービスの質と従事者の資質向上に優れた事業所を表彰する「かながわベスト介護セレクト20」に、市内から(社福)東洋会・特別養護老人ホームたちばなの里(齊藤洋子施設長)と同じく潤生園(時田純理事長)が選ばれた。
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たちばなの里では8年前からEPA(日比経済連携協定)により海外から介護福祉士候補生を受け入れ、人材育成に尽力してきた。齋藤施設長は「家族を大切にする民族性もあり、入所者と真摯に向き合っている」と候補生を評価。言語や文化の違いを越えて心を通わせる姿勢は、施設内で共通のものとして浸透している。
また同施設でいち早く「看取り」を実践。「自然の摂理に従い、その人らしく最期を迎えられる平穏死」を提唱し、取り組んできた。介護相談員を筆頭に医師や栄養士など専門スタッフが連携し、入所者を尊重したケアプランのもと献身的に介護。寿命を全うした入所者に対しては、職員全員で尊敬の念をもって見送りしている。
こうした平穏死の考え方の普及活動にも力を入れ、講演会を開催。先見的な人材育成と看取りの実践、地域に根付いた運営が受賞の理由となり、齋藤施設長は「職員間で共有してきた姿勢、取組みが評価され自信になる」と喜びを語った。
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「天寿を全うしてもらうこと」。時田佳代子常務理事のこの言葉はすなわち、潤生園もまた自然な死と看取りに焦点を当ててきた。
施設側の理想だけでは決して実現しないことを「最大の財産」だという職員のマンパワーで成している。穴部の施設では約60人が従事しており、1人ひとりの能力を伸ばすための年間教育計画を個人別に立案し、実行。福祉という人の命にかかわる仕事の意味、価値、やりがいを職員が理解してこそマインドの高い人材が育つと考え、盤石な基盤を醸成。それこそがサービスの質に直結すると時田さんは信じ、「人の育成をないがしろにはできない」と言い切った。
また、「どんな介護を受けるかによってその人の最期が決まる。支える側(職員)に思いがちゃんとあるから天寿を全うできるようなアプローチができるんです。人に囲まれて生まれたのだから、人の温もりの中で自然な最期を遂げてほしい」と語り、人の尊厳をすべてケアする姿勢を崩さず、来年で40年を迎える潤生園の未来を思っている。