あいさつやお辞儀、名刺交換や訪問先での振る舞いなど、社会人には欠かせないビジネスマナー。城山の税理士法人エナリに勤務する和田ゆかりさん(49)は取引先を中心とした約260社に、ビジネスマナーなどをつづった「ブレインニュース」を発信し続けている。
きっかけは10年前。所長の江成健一さんが朝礼でスタッフに投げかけた「自分の強みを生かせ」という言葉。「自分の強みとは・・・」。考えた和田さんは、仕事をしながら30代半ばに大学で学んだ心理学と、幼少のころの母親と祖母のしつけが頭の中で結びついたという。
江成所長の勧めもあり、接遇マナーコンサルタント講師の養成講座を受講。JPA認定講師の資格を取得した和田さんは、同法人が取引先に発送していた会報に、コラム「ビジネスマナーちょっと得する話」を執筆するようになった。身近な経験から、マナーを解説する内容だ。
読者視点で試行錯誤
第1話はパソコンで打った細かい字に「目立たない」「何を伝えたいのかよくわからない」と厳しい意見も寄せられた。「毎回封筒を開けることが楽しみになるような、読者のニーズに合ったコラムにしなければ」。内容はもとより、顔写真やイラストを入れたり文字の大きさの強弱をつけたりして、試行錯誤を重ねてきた。徐々に「いつも楽しみにしている」「役に立つ内容をありがとう」と声をかけられることが増えてきたという。
接遇マナーで一番大切にしていることは笑顔。常に持ち歩いている手帳には「一日一笑、一日一感謝」と記している。「笑顔をみて、不愉快に思う人はいません。その上で、ちょっとしたたしなみを知っていると得ですよね」
会報は2012年の新年号から「ブレインニュース」となり、5年前から後輩の木村隆人さん(33)も一緒に、人材育成や賃金制度などのコラムを執筆するようになった。和田さんは「どんなことからでも学べる。何歳からでもできる」と話す。39歳からはじめた「ちょっと得する話」。この4月の110話では、小田原城の桜について触れながら、「敬語」のマナーを伝えている。これからも身近なビジネスマナーを「自分の強み」として発信し続ける。