プロ和太鼓集団「鬼太鼓座(おんでこざ)」が10月22日、小田原市民会館で公演を行った。座員の木下直人さん(31)が小田原市出身ということもあり、約1100席の会場は地元ファンらで満員となった。
入座7年目で果たした初の凱旋ステージ。会場には「おかえり直人」「木下直人さんがんばれ!」といった横断幕が掲げられ、フィナーレの座員紹介では会場からひときわ大きな拍手が送られた。今回の実行委員を務めた木下さんは、「自分も鬼太鼓座の活動に感動しているファンの一人。だからこそ地元の人に見てほしくて企画した」と話す。
木下さんの母・和子さんが職場の同僚だったことで鬼太鼓座を知ったという山北町の仁村成子さん(78)。公演の鑑賞は4回目で、「病を患っているけれど、魂を揺さぶるような演奏に『やるぞ』という気持ちにさせてもらえる」と話した。
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鬼太鼓座は1969年に新潟県佐渡島で創立。コンサート形式で和太鼓を演奏するスタイルを確立させ、来年に50周年を迎える現在は年間約80の公演をこなし、活動の場を海外にも広げている。
埼玉県東秩父村の廃校を利用した合宿所で、座員と共同生活を送る木下さん。10Kmのランニングに始まり、1日約5時間の練習や集中力を高める写経も毎日こなす。練習の厳しさを物語るのは、メニューに筋力トレーニングはないにも関わらず筋骨隆々とした身体だ。
活動の原点は相洋高校和太鼓部。卒業後も積極的に助け合おうとする雰囲気が素晴らしいと語り、「顧問の小林悟先生が築いた人間関係あってこそ」と感謝する。「和太鼓は自身を成長させる場」とし、今後も厳しい練習に耐え抜く覚悟だ。