(一社)日本記念日協会が2月6日を「お風呂の日」と制定している。1934年創業、小田原市で唯一となった銭湯「中嶋湯」の湯に浸かりながら店主加藤隆裕さんの話を聞いた。
ジェットバスのボコボコという音が時折、加藤さんの話を遮る。「コロナでお客さんは半分になってしまってね」。約10年前に父親から経営を継いだ加藤さんは、コロナ禍の苦悩を振り返った。公衆浴場法の「物価統制令」で入浴料金が値上がりし、中嶋湯でも2020年4月から大人450円となり、毎日来ていた人が1日おきになったという。「温泉はお湯を楽しむところだが、銭湯は体の汚れを落とすところ。自宅にお風呂がない人もいるから」とコロナ禍でも営業を続けている。
利用者は常連が6〜7割で、若い人も多いという。中には銭湯のマナーやルールを知らない人もいる。古き良き銭湯の文化を守り続けることは難しい。
助けを借りながら
60年代には小田原にも24軒の銭湯があったが今では1軒が残るのみ。改修・改築を重ね、家族経営で守ってきたが、最近は内装やバーナーの修理を請け負ってくれる業者も少なくなった。「バーナーは親しくなったお客さんに直してもらった」。湯を沸かす燃料は廃油がメインで、地域の企業から仕入れている。昭和初期から続く趣のある銭湯。「周りの助けを借りながらできる限り続けていきたい」と思いを語った。湯上りは瓶入り牛乳でほっと一息。
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