タウン童話 『森町の相撲大会』 絵・文 バタバタばーば(斎藤分町在住)
ここは森町。いつも気持ちの良い風が吹いている。木がいっぱいある森の中の町です。
今日は森町の文化センターが出来上がって、町中がお祝いのお祭りで大賑(にぎ)わいです。今日のお祭りに参加しようと町中の誰もがワクワクしています。
会場は丘の上1丁目です。町外れに住んでいる人はトンボの飛行場まで行って、そこからトンボジェットで行かなければなりません。その飛行場まで、アリさんタクシーででかけようと思います。今日のイベントは、カブトムシ町長さんのごあいさつで始まります。次は小さいテントウムシ小学校のパレードがあるそうです。ムカデ競争やバッタのダンスも楽しそうですが、なんといっても今日の一番の楽しみは、勝ち抜(ぬ)き相撲大会です。早く行かないと前の席がとれないから、みんな朝早くから広場にやってきました。
トンボの飛行機に一番にやって来たのはシャクトリムシの一家です。アゲハチョウはご自慢(じまん)の娘さんにきれいな服を着せてやってきました。キリギリスやバッタも友達といっしょにがやがやと 集まってきました。トンボジェット機がいっぱいになって、いよいよ出発。到着してみると、もう会場はいっぱいでした。みんな相撲大会が楽しみなのです。
さぁいよいよ祝賀会(しゅくがかい)最大(さいだい)のイベント「相撲大会」の始まりです。 最初はアリとアリで、勝ったモノがクモと、さらにクモはコガネムシと戦います。小さな虫が大きな虫に勝つと会場からは大きな 拍手が飛び交(か)います。
さて、いよいよ最後はカブトムシとクワガタムシの試合になりました。大きな角を体の下に入れてひっくり返そうとするカブトムシ。二つの角で持ち上げて投げ飛ばそうとするクワガタ。両方とも体が大きいうえに、相当の力持ちで、なかなか勝負がつきません。行事のカマキリはあっちに行ったり、こっちに回ったり、「ノコッタ、ノコッタ」と大声ではやします。
長いこと闘(たたか)っていたのですが、とうとう勝負がつかず、カマキリ行事が大きく手を上げて、「この勝負引き分けー」と言って土俵(どひょう)にどっかりしりもちをついてしまいました。
観客(かんきゃく)もすっかり疲れきってしまって、「フー」と大きなため息です。カブトムシもクワガタムシも大勢の応援団(おうえんだん)に向かって手を振ろうとしたのですが、疲れてしまって土俵の真ん中に寝込んでしまいました。
文化センター完成記念(きねん)の相撲大会は長く話題に残る名勝負(めいしょうぶ)でした。(おしまい)
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