連載寄稿 イルカ博士の生命感動日記 ㉓イルカが人を助ける
ヒトは日常生活で困っている他人を見ると助けてあげたい衝動にかられ、多くの場合、何らかの親切を行います。こうした動物界の中でも特異的なヒトの「利他行動」がどのような仕組みで行われるのか、幼児期の親切シーンが研究者の間でも次第に明らかにされつつあります。
動物の場合についても敵対行動と親和行動のちがいなど比較して研究がされています。4月下旬、ユーチューブに投稿されたニュース…ある英国人男性がニュージーランドの北島と南島に挟まれた約26Kmのクック海峡を泳いで渡る挑戦をしている途中、サメが出現。その時どことからなくイルカが現れ、彼をガードしてサメの接近を阻止してくれたそうです。
そのイルカが起こした奇跡について、私はテレビ朝日「モーニングバード」(5月1日放送分)で次のようにコメントしました。「群れが起こした親切行動でサメを追い出したのではないか」と。ヒトの赤ちゃんもイルカも手助け行動があり、私は餌に困った仲間を群れで手助けするイルカに遭遇したこともあります。イルカが出すカーミングシグナルという穏やかな親和行動は、サメに対する威嚇などの敵対行動と表裏一体ですが、これを利他主義的といいます。
私たち人間社会は、習得して生きる論理の世界なので理屈が必要です。しかし、イルカや赤ちゃんが他者を助ける動作は、持って生まれた生得性が高度な脳の中に「無意識・無努力の感性として組み込まれているのだと思います。
(連載12号赤ちゃんが人を助ける)
【日本ウエルネススポーツ大学特任教授・岩重慶一
(問)【メール】iwashige@gmail.com】
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