連載寄稿 イルカ博士の生命感動日記 ㉜イルカの座礁とは
4月10日午前6時頃、茨城県鉾田市海岸に150頭のイルカが打ち上げられました。過去には、種子島や鹿島市海岸などで400頭近くが砂浜に打ち上げられています。
集団での座礁や迷入の原因について、私は「陸地が砂浜である沖合での採餌行動の失敗」と「各種潜水艦が発射した強烈な超音波を受け、彼らのエコロケーション(超音波反響定位)能力における聴覚器官と脳神経細胞が衝撃を受けパニックを起こす」という動物行動学から見た独自の仮説を主張しています。その結果、正しい採餌行動が確保できず自然の定置網といわれる陸地砂浜・遠浅に追い込まれるという悲劇を繰り返していると考えています。原因はイルカ漁法と人間が作った潜水機器が絡み合って起きているようです。
イルカは、潜水艦などが使用しているソナー(超音波発信機)をしのぐ能力を備えています。しかし、残念ながら、砂浜が続く沖合では潜水艦などの強烈な衝撃波により、イルカは陸地を確認できません。従って、小魚を追尾して追い込んで沖合へ反転させ、沖で待つ集団が捕獲するという漁法を失敗したのではないかと考えます。
今回も一部のイルカは命拾いしましたが、死んだイルカは焼却または埋めます。その処理に関わる費用は大きく、地域の市町村の財政を直撃するほどです。イルカの座礁は、原因の解明とともに事後処理を負担する人間側の経済問題でもあります。今回の経験を生かし、長い浜辺を管理する沿岸の地方自治体は将来起こる座礁に備えた財政対策・資金準備や死体の処理についての地方自治法の改正が必要だと思います。
【日本ウエルネススポーツ大学特任教授・岩重慶一
(問)【メール】iwashige@gmail.com】
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