多摩川スピードウェイ跡地を川崎の財産に 対談 川崎市議会議員・ためや義隆×「二輪文化を伝える会」松島裕さん
かつて川崎に「多摩川スピードウェイ」と言う名のサーキットがあった―。中原区の多摩川河川敷にある跡地は、当時の面影を残したままいまも存在している。この跡地の活用方法を考えようと、私、ためや義隆が「二輪文化を伝える会」の松島裕さんと対談。実際に現地を訪れ、名残のあるスタンドに腰掛けながら「川崎の財産」について熱く語った。
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ためや/6月の議会で、「多摩川スピードウェイ」の在り方について質問してから各方面から反響がありましたが、地元の方から意外にも「知らなかった」という声を多くいただきました。まずは知ってもらうことから始めないといけないと感じていますが、松島さんはどう思われますか。
松島/この地に記念碑を建てる、もしくは古い写真を並べて展示するなど、通りすがりの人にも関心を持ってもらうことが必要だと思います。モータースポーツが好きな人だけでなく、むしろあまり興味がない人、地元の人が地域の資源と思ってくれるような取り組みをしていくべきですよね。
ためや/市内の博物館等の施設でコーナーを作ってもいいですよね。あの本田宗一郎氏がレースに出場した場所でもありますし。
松島/昭和11年6月7日に行われた「多摩川第一回自動車競走大会」ですね。本田さんは、わざわざ浜松から自分の車を運転して川崎まで来たそうですよ。
ためや/すごい話ですね。後のF1につながる源流だと思うと、ロマンがあります。モータースポーツは、どうしても商業的な面で語られてしまうきらいがあります。その背景、文化的な側面がおざなりになってしまっているというところは、松島さんご自身も感じていらっしゃるのでは。
松島/産業あるいは企業の文化として取り上げられることはあっても、純粋な文化や人にスポットが当てられることは少ない気がします。産業文化は、産業そのものの栄枯盛衰に支配されるので、製品自体がなくなれば消えてなくなってしまう。でも、本田宗一郎さんがここを走ったという事実は変わらない。多摩川スピードウェイでもうレースが開かれることはなくても、この場所や出来事が「地域の文化と歴史」として語り継がれていく存在になっていったらいいですよね。
ためや/行政の答弁では当分取り壊しはないという話でしたけれど、いずれインフラ整備をすることがあるでしょうから、そのときに「一部は残しましょう」という働きかけをしていきたいと思っています。
「当時見に行ったことがある方はぜひ情報を」
松島/昭和24年頃には、進駐軍のクラブが協力した「日米親善オートバイレース」という大会も開催されたんですよ。数万人規模の観客が入るような、盛り上がるイベントだったそうです。地元の人で、子どもの頃観戦したことがある人はきっといますよね。
ためや/そういう方には、ぜひご一報いただきたいですね。当時の写真があったら見せてもらいたいですよ。
松島/ここは川崎が誇る世界的な財産になりうるかもしれない場所です。海外からHONDAファンの人が見に来る可能性だって十分ありますから。
ためや/6年後には東京五輪もありますし、地域資源としてうまく川崎から発信できるイベントなども開催できたら素晴らしい。川崎にこういう歴史・文化があったんだというところをPRしていきたいですね。
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4月26日
4月19日