「やわらかくておいしい」。口いっぱいに大豆ごはんを頬張る児童から、笑みがこぼれた。2月から厚木市内の全小中学校36校の給食で、「幻の大豆」といわれる津久井在来大豆の提供が始まった。実施は来年1月まで。同じ銘柄の食材を全校で年間通して提供するのは初の試み。
取り組みは、子どもたちに地場農産物を通じて地域の農業や食の大切さを知ってもらおうと市教育委員会がJAあつぎと連携し計画。月2〜3回、年間約2トンの大豆を給食に提供する。
これは、子どもたちに大豆本来の味を知ってほしいというJAあつぎ大豆部会(井上允会長・会員24人)の思いから実現した。
清水小学校(高橋健一校長・児童数906人)では、16日に大豆ごはんを給食で提供。教育委員や生産者ら12人が視察に訪れ、児童と一緒に給食を食べた。
出汁と津久井在来大豆特有の甘みが染み出した大豆ごはんに児童からは「おいしい」と声があがった。
視察に訪れた曽田高治教育長は「食を通じて厚木産の食材に愛着を持ってほしい」と期待を寄せた。
同小学校栄養技師の濱田恵生さんによると、同大豆は大豆ごはんのほかに、ドライカレーや煮物などの献立に使用する予定だという。
現在全小中学校では、地場農産物や郷土料理を献立に入れたパクパク厚木産デーを実施。月ごとに、市内で獲れた米やジャガイモなどの食材を使い、地産地消をすすめている。
「大豆本来の味、伝えたい」
かつて生産者の減少から「幻の大豆」といわれた津久井在来大豆。厚木市では2009年にJAあつぎ大豆部会を設立し、同大豆の保存と復活を進めている。
2010年にはかながわブランドに認定。現在は平塚市、藤沢市、大和市、座間市、秦野市など9市で生産されており、市内では約10人が大豆農業に携わっている。
JAあつぎによると、今年度の作付面積は市内だけで約2・5ヘクタール、収穫量は約2トンだったという。前年度と比較すると面積、収穫量ともに減少したものの、20〜30代の新規就農者3人が参加し、給食供給の目安だった2トンを収穫。給食の提供に必要な品質基準をクリアしたことなどから提供が実現した。
同大豆の生産は、厚木市都市農業支援センターなどが市内の耕作放棄地約1・5ヘクタールを同就農者に提供・支援するなどして、さらなる収穫量増を目指している。
井上会長によると、給食の食材は虫がついていないこと、均一の品質など一定基準を満たすことが必要だという。そのため同部会では、害虫を手作業で駆除したり、土壌の手入れを頻繁に行ったりするなど、改良を続けている。
井上会長は「子どもたちに加工品でない大豆本来の味のおいしさを伝えたい。現状に満足せずに良い大豆の生産を目指す」と話した。幻の大豆復活にかける生産者の思いは、給食を通じて子どもたちに届く。
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