若松新生商業組合の組合長で、「若松マーケット」再生に挑む 佐藤 昭夫さん 東逸見町在住 69歳
「昭和レトロ」で活性の道拓く
○…ブランデーをジンジャーエールで割った新カクテルを考案。発祥の地を冠して「横須賀ブラジャー」と名づけた。あえての奇抜なネーミングは耳目を引くための戦略だ。組合加盟の70店で今日から統一メニューとして一斉販売に踏み切る。加えて、経済成長から取り残された街一帯の古めかしい雰囲気も「昭和レトロ」を触れ込みに売り出していく。噂を聞きつけたマスメディアも注目。時代遅れの歓楽街が一躍、地域活性の主役に躍り出た格好だ。
○…猥雑さが人気の「若松マーケット」は、庶民の社交場だった。通行人の肩と肩がぶつかりあうほどの賑わいも今は昔。「隆盛を誇った昭和40年代初頭。マスターを務めていたバーの月収は今の年収と同じくらい稼げた」。だがそれも石油ショック、バブル崩壊で低迷期を迎える。付近で唯一、再開発の波からも取り残され、いつしか停滞ムードに支配されるようになった。「このままではジリ貧」。店主らの共通の危機感が再生プロジェクトの発端。まとめ役は、「栄枯盛衰を知り尽くしたこの人しかいない」というのがメンバーの共通認識だ。
○…マーケットに自身が携わる店はすでにない。それでも離れられないのは愛着ゆえ。以前にも活性化をめざした動きは何度かあったがまとまらずに頓挫した。問題意識の共有化が図れず、一つになれなかったのがその理由だ。今回は違う。売り出しのコンセプトも共有化、切り札となるカクテルも手に入れた。
○…「若松人情マーケットの奇跡」と題した架空の物語を見せてくれた。信頼を寄せるアドバイザーが、活性化が叶った街の姿を未来予想的にまとめたものだった。そこには、「明確なコンセプト」と「一丸となったチーム力」が寂れゆく街をもう一度元気にする離れ業をやってのけた、と記されている。「進み方はもう決まっている。後は行動あるのみ」。その決意に迷いはない。
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