アマチュア写真家として「土門拳文化賞」を受賞した ストラーン 久美子さん 走水在住 61歳
日常の一コマ カメラに収め
○…嵐の中、基地から16号線沿いを走り続ける若い米兵を車で追走。走水の坂を上りきって息をついた所で彼にシャッターを切った。裸の上半身にはタトゥー、豪雨に打たれた顔は疲れ切っている。それは勤務中や同僚といる時には見せない日常の姿―「これが撮りたかった」。自ら足を運び、市内で撮影した国際色豊かな30枚組を応募。「はっきりとしたポリシーを持った作品」と評され、アマチュア写真家の中で最も権威のある賞に選出された。
○…高校生の頃、日本を飛び出した。勉強し続ける日々を通してテストの点や学歴、それらだけで人の評価が決まってしまうような日本に違和感があった。留学は苦手だった英語を克服する目的もあり、アメリカに。会話に慣れ、友人が増えると日本よりも愛着が湧いた。当初は1年の予定だったが、仕事に就き、結婚もしていつしか20年が過ぎた。帰国後はバイリンガルのスキルを活かし、座間基地に勤務。「司令官のサポートを担う秘書のような仕事」に従事した。10年前から横須賀基地で働く。
○…市内に居を移して感じた最初の印象は「ブルー」。海や空、そして自分の沈んだ気持ち。新しい仕事場は当初上手くいかなかった。そんな時、ある1枚の写真に出会った。曇り空に漂う月。「まさに今の自分の心情を表している」と感じ、自然と涙がこぼれた。その写真の影響を受け、自らも撮影をするように。最近では朝4時に起きてカメラを持つなど、仕事以上に時間を割くようになった。
○…自分の写真から感じてほしいものがあるわけではない。「それは観る人が自由に受け取るものだから」。しかし今回の受賞に関しては伝えたいことがある。情熱を持って取り組んでいるにも関わらず、「60歳になって今さら遅いよ」と言われたことがあった。日本人が持ちやすい否定的な考え。「好きなことを目一杯やったらいいのにね」。自分の生き様を形として示した。
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