矢部ふさおの「花たれ雑記【6】」 激甚豪雨、どうなる逗子・葉山
8月、広島市内で発生したゲリラ豪雨による土砂災害は74名の尊い命を奪いました。土石流の凄まじさを知ると同時に、日本の都市部では何時どの地域にあっても起こり得る災害だと感じた方も多いのではないでしょうか。私たちも今一度、河川砂防対策を見直す必要があります。
さて、私たちが暮らす逗子市・葉山町では、県所管の河川区域に田越川・森戸川・下山川があります。それぞれ浸水想定を県の区域図でみると、逗子市の計画雨量は1時間の最大雨量が82ミリ、葉山町は74ミリとなっています。一見、逗子の降雨強度が高いように思われますが、これには米軍家族住宅建設時に整備された池子川(田越川支流)の巨大調整池(10万3千トン)が寄与しています。本流の流下能力で言えば、時間雨量は50ミリ。しかもこれは県の河川改修による目標と定めているもので実際の改修は完了していません。もし、広島のような豪雨が長時間続けば調整池が水量の限界を超え、狭隘部の田越橋上流部は胸高を超す大洪水に見舞われる可能性があります。早期の橋の架け替えと河川拡幅が待たれます。
ところで雨による土砂災害ですが、「危険箇所」と呼ばれる場所がいくつあるかご存知でしょうか。逗子市では土石流危険渓流6カ所、急傾斜地162カ所、葉山町では土石流危険渓流17カ所、地すべり危険箇所10カ所、急傾斜地157カ所がそれぞれ指定、種々の理由で未指定もありそれ以上ということになります。広島のように土砂に大量の水分が含まれると地層表面だけでなく、地層沿いに山全体が崩れる深層崩壊が起こる危険性があります。10年ほど前、横須賀市秋谷を走る国道134号線が長期の災害復旧工事をしていましたが、これは地すべり危険箇所に多く指定されていた海岸側が崩壊したことが原因でした。
私たちは、土砂災害が想定される地域では被害が最小限となるように砂防ダムを整備し、崖崩れを防ぐためにコンクリート擁壁を築くなど日頃から地域の安全確保に努めねばなりません。異常気象が相次いでいる昨今であればなおのことです。
矢部房男
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