「終活」とは、「自らの人生の終わりに向けた活動」のこと。遺言の準備や相続、身辺の生前整理から、亡くなった際の葬儀や墓の用意など、多岐にわたる。もともとは「終わりの準備」の意味合いだったが、人生100年時代といわれる昨今では、「これからの人生をより豊かにする」という考え方にも広がっているようだ。
超高齢社会を迎え、今後さらに国民の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上になるという2025年を前に、「終活」に関する考え方や関連サービス等も多様化している。
残りの人生を記す
これまでの人生を振り返り、これからの人生をどう歩みたいかなど、自分の思いを記すエンディングノート。横浜市では昨年度までに市内18区でオリジナルのエンディングノート=左写真=を配布し、講演会や書き方講座を開いている。市民からは「自分を見つめ直せた」「前向きに人生を過ごしたい」などの声が。問い合わせは都筑区役所高齢・障害支援課【電話】045・948・2306へ。
老後資金を考える
「老後資金は2000万必要?」との報道が話題になり、退職後の生活について具体的に考える人も多い。65歳の公的年金受給開始後、平均寿命を想定すると、老後生活は約15年〜20年。公益財団法人生命保険文化センターが発表した2016年度「生活保障に関する調査」では、「ゆとりある老後生活費」は月34・9万円という結果も。定期預金や退職金の活用など、老後資金の作り方はさまざまだが、専門家に相談の上、具体的なプランを立てるという選択肢もありそうだ。
お墓、「横浜に」が最多
人生の最期を考えるとき、多くの人が頭に浮かべる一つが「お墓の問題」。横浜市が5年毎に実施している「墓地に関する市民アンケート調査」(2017年8月10日〜9月11日、20歳以上の市民を対象に実施。回収数2087件・回収率41・7%)によると、「墓地の取得を希望する」は21・1%。その理由として「将来のために取得したい」(72・3%)が最も多く、「他都市から移したい」(13・8%)、「遺骨があるので墓地がほしい」(7・3%)と続いた。取得したい地域は「横浜市内がよい」(54・6%)が最多。「徒歩圏内の近隣がよい(13・2%)」と合わせると、約7割が市内を含む比較的近い場所での取得を希望していることが分かる。
また、2012年の前回調査と比較すると、取得したい墓地の形式が多様化している実態も明らかに。「個々に区画されたお墓」(48・3%)が前回調査から12・3ポイント減少した一方、「納骨堂」(12・9%)が4・3ポイント、「こだわらない」(22・4%)が5・9ポイント増加した。「墓地の取得を希望しない」との回答のうち、「その理由」については、「自分の代以前から墓地がある」「自分が取得した墓地がある」の合計が7割超。既に墓地を利用できる環境にある人の割合が多い。「お墓は不要」「まだ考えていない」との回答もあった。
アンケートを実施した横浜市健康福祉局健康安全部環境施設課に寄せられる相談内容は、新規の墓地購入に加えて「お墓の引っ越し=改葬」や「お墓の閉じ方=墓じまい」など。市に転入し老齢を迎えた人が住み慣れ、子どもたちの住まいにも近い横浜市内で眠りたいとお墓を移すケースや、地方への移住に伴いお墓を移すケース等があるそうだ。さらに永代供養墓や合葬の相談も増えているという。
今後の時間、より豊かに
これからの人生をどう生きるか――。
「終活」は多くの人にとって大切なテーマ。自身の希望や健康、家族の絆、遺族の負担など、さまざまな視点から「残りの時間」に思いを巡らせ、「より豊かな今後」を送りたいもの。この機会に「終活」について考えてみてはいかがだろうか。
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