県内の中堅・中小企業が開発した優れた技術・製品に贈られる「第32回神奈川工業技術開発大賞」(県、神奈川新聞社共催)がこのほど決定した。都筑区内からは、株式会社ファブエース(盛満要一社長・従業員数23人)=本社・荏田南4の1の23=がビジネス賞部門で受賞した。「誰が作業しても同じものができる」「不良品を出さない」最新のかしめ機が評価された。
かしめとは、金属などの二つの部品を接合するときに圧力を加え変形させ、固定化させる加工法のこと。テレビやパソコンなどのあらゆる電気製品にこの技術は使われている。開発を担当した技術部の野口正幸課長(55)は、「一般の人にはあまりなじみがないですが、実は身近なところにある縁の下の力持ちなんです」と説明する。
かつては作業者がハンドルをまわして、圧力計を見ながらかしめ作業をしていた。機械の操作も煩雑だったことから不良品が発生することもあった。「1000個の製品を納入して、1個でも不良品があればすべてが返品されることになる。痛い思いをしたこともある」と盛満社長(52)は苦笑いする。
最新のかしめ機は、製品が基準設定値から外れていないかの合否判定機能を備え、誰でも操作が簡単にできるように、7インチ(約18cm)のタッチパネルで加工情報を選択すると、必要な圧力が自動的に呼び出されるような工夫をした。
「社内でミスを食い止める。操作が簡潔になったので、製造業の後継者不足問題解消の一助になれば」と盛満社長は話す。
野口課長は賞の受賞について「息子が賞を取ったようなもの。世の中の役に立つものができてうれしい」と声を弾ませている。
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