新型コロナウイルスの収束がいまだに見えない中で迎えた今年のお盆。これまでであれば家族が集い、墓参りをしながら家族の将来について話し合う機会にもなってきたが、今年は感染を避けるために帰省しない人も多いという。それでも家族や夫婦の行く末はとても大切なこと。人生100年時代といわれる中で、今年はじっくりと前向きに、自身の人生や「終活」について考える時間にしてみてはいかがだろうか。
「終活」とは「自らの人生の終わりに向けた活動」のこと。遺言の準備や相続、身辺の生前整理から、亡くなった際の葬儀や墓の用意など多岐にわたる。もともとは「終わりの準備」の意味合いだったが、人生100年時代といわれる昨今では、「これからの人生をより豊かにする」という考え方に広がっている。
超高齢社会を迎え、今後さらに国民の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上になるという2025年を前に、「終活」に関する考え方や関連サービスなども多様化している。
残りの人生を記す
これまでの人生を振り返り、これからの人生をどう歩みたいかなど、自分の思いを記すエンディングノート。横浜市では区ごとにオリジナルのエンディングノート=左写真=を作成している。市民からは「自分を見つめ直せた」「前向きに人生を過ごしたい」などの声が聞かれている。エンディングノートは、各区役所の高齢・障害支援課や地域ケアプラザなどの窓口で無料で配布中。終活の内容だけでなく、これからの暮らしを前向きに考えてもらおうと、健康作りや介護、成年後見制度などの情報も合わせて提供している。問い合わせは、都筑区役所高齢・障害支援課【電話】045・948・2306へ。
また、横浜市は高齢期の自分らしい暮らし選びを応援しようと、ウェブサイト「ふくしらべ」を立ち上げた。同サイトでは、エンディングノートを書く時のポイントなどがまとまっている。
「もしも」の時を考える
治らない病気となり、自分の気持ちを家族などへ伝えられなくなる--。そんな「もしも」のときのために、簡単な3つの質問に答えるだけでどのような医療やケアを望んでいるかを伝えられる手帳「もしも手帳」も「ふくしらべ」のサイト内からダウンロードできる。市の担当者は「人生の最期のことを判断力のある元気なうちに考えるきっかけとして使ってもらえれば」と呼びかけている。同手帳は、各区役所の高齢・障害支援課などでも配布している。
お墓、「横浜に」が最多
人生の最期を考えるとき、多くの人が頭に浮かべる一つが「お墓の問題」。横浜市が2017年に実施した「墓地に関する市民アンケート調査」によると、「墓地の取得を希望する」は21・1%。その理由として「将来のために取得したい」(72・3%)が最も多く、「他都市から移したい」(13・8%)、「遺骨があるので」(7・3%)と続いた。
取得したい地域は「横浜市内がよい」(54・6%)が最多。「徒歩圏内の近隣がよい」(13・2%)と合わせると、約7割が市内を含む比較的近い場所での取得を希望している。
また、2012年の前回調査と比較すると、取得したい墓地の形式が多様化している実態も浮かんだ。「個々に区画されたお墓」(48・3%)が前回調査から12・3ポイント減少した一方、「納骨堂」(12・9%)が4・3ポイント、「こだわらない」(22・4%)が5・9ポイント増加した。また、墓地の使用範囲を前回調査比でみると、「先祖代々がよい」が減少する一方、「自分一人でよい」「夫婦でよい」が増加するなど、より狭い範囲を希望する傾向がみられた。
今後の時間、より豊かに。これからの人生をどう生きるか――。
「終活」は多くの人にとって大切なテーマ。自身の希望や健康、家族の絆、遺族の負担など、さまざまな視点から「残りの時間」に思いを巡らせ、「より豊かな人生」を送りたいものだ。
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