JA横浜が主催する果樹持寄品評会で昨年、折本園の浜柿と浜ぶどう計3点が優秀賞に選ばれた。夫である新井知剛園主と義母・てるみさんと共に、数々の賞を総なめにする同園の妥子さん(31)に話を聞いた。
湯河原町に生まれ、23歳での結婚を機に都筑区へ。「農家に嫁ぐことに不安はあったけど、皆温かい人ばかりだった」。今でも忘れられないのは、初めて横浜のブランド柿、浜柿を食べた時のこと。「甘さと食感に衝撃を受けた。多くの人にこの味を知ってもらいたい」。農家の嫁として決心した。以前はほとんど食べられなかった野菜も、100年以上続く同園の新鮮な採れたてを食べるうちに「不思議と何でも食べられようになった。毎日幸せ」と笑顔で語る。
約5200坪の広大な敷地で柿や梨、ブドウなどの果物のほか、大根やキャベツなどの野菜を栽培する同園。1年365日ほぼ休まず働く妥子さんだが、ブドウの摘粒(てきりゅう)作業は特に大変だという。放っておくと1房に100粒以上の実が付くブドウを26粒ほどに統一するため、完成形を想像しながら間引いていく。その数約7000房。家族総出で行っても約2週間掛かる作業だ。「一つひとつ丁寧に。この時季、夫は朝3時半から夜12時過ぎまで畑に出ていてすごいなって。一家の主として頼りがいがある」。新井園主も「他人では務まらないかけがえのない存在」と互いにたたえ合う。妻としてまた、2人の子を育てる母としての顔も持ち、「最近では子どもがブロッコリーを取ったり、袋詰めなんかもしてくれて」と優しい眼差しで家族を見守る。
忙しい中でも年1度だけ、音楽グループ「湘南乃風」のライブに行くのが息抜き。「タオルをくるくる回して盛り上がる」と中身は普通の女の子だ。
「お客様と心通わせられる直売スタイルにやりがいを感じる。昨年より今年の方がおいしいって思える自信作を届け続け、皆に『果物といえば折本園』と言ってもらえるよう日々精進していきたい」
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