横浜市消防局 ケガ予防で救急出動抑制 事例や対策、冊子で紹介
2年連続で救急車の救急出動が過去最多を更新している横浜市。今年は昨年を上回るペースで熱中症患者が急増しており、救急需要の抑制が課題となっている。市消防局(保土ケ谷区)では、予防救急の強化が急務とし、ケガの予防や対策を講じたハンドブックを作成し、7月から市内全域で配布。昨年約3万件あった一般負傷者の削減を図る。
市内には63台の救急車が配備されている。同局警防部救急課によると、全国的に問題となった救急車の不適切な呼び出しは改善されつつあるが、高齢者や単身世帯の増加により出動件数は右肩上がりの状態。予算の関係もあり、救急車や人員を増やすのは難しいのが現状だという。
救急出動の過去最多を記録した昨年は、17万288件に上った。その内訳は、急病が11万4019件と最も多く、次いで多かったのがケガなどによる一般負傷で2万7933件だった。
同局では2011年の救急搬送事例から分析した結果、「市民意識を高めればケガは未然に防げる。予防救急の取り組み強化が必要」と認識。医療関係者、学識経験者、市民などによる「横浜市救急業務検討委員会」でまとめたハンドブック『救急搬送事例からみたケガの予防対策』を20万部作成した。
同局は「ケガの予防は全ての年齢層で共通の課題です。ハンドブックを広く活用して頂き、ケガの予防に役立ててほしい」と訴える。ハンドブックは公共機関などで配布を開始している。
熱中症搬送が増加
泉区は熱中症による救急搬送が5月、6月となかったが、7月6日の梅雨明けから増加傾向で、17日時点で15人となった。乳幼児から成人男性、高齢者まで、救急搬送される年代は幅広く、「熱中症に年齢は特に関係ない。軽く考えてしまいがちだが、日頃から対策をするなど十分注意してほしい」と泉消防署予防課は話す。
18日には中田小の女子児童3人が、校庭でマーチングバンドの練習中に熱中症の症状を訴えて病院に搬送、中等症と診断された。ほかにも、園児や児童の熱中症事例も同署に報告されており、今後も増えることが予想される。
熱中症は屋外だけでなく屋内で起こるケースが多い。同局が発表した2012年の救急搬送状況によると、5月から9月までの調査期間内に居室内で熱中症にかかった人は、軽症等あわせて171人で、屋外や運動中を抑えて最も多くなっている。
一般負傷の部類に入る熱中症だが、こちらもケガと同様に予防意識を高めることで避けることが可能だ。同局では「暑さに慣れる間は不要不急の外出を避け、こまめに水分補給をするなどして対策を」と呼びかけている。
|
|
|
|
|
|