おもちゃの病院ドクトルベアーズの代表を務める 小林 茂さん 白百合在住 68歳
宝物直すお医者さん
○…ニッパーや半田ごて等の工具を手に、壊れたおもちゃを直す「おもちゃの病院ドクトルベアーズ」。毎週区内の施設で修理するほか、科学に興味を持ってもらおうと、一からものを作る楽しみを伝える、工作教室を年に数回実施している。3代目の代表を務めて4年目。「直したものを手渡した時のお子さんの目の輝き、これが何よりのやりがい」。キラッと歯をのぞかせて見せる笑顔に、日々の充実感が伝わる。
○…新潟県出身。ゼンマイ式のブリキのおもちゃで遊んでいた幼少時代は「何で動いたり回転したりするのだろう」と、好奇心からおもちゃを分解。「当時は直せるわけもなく、壊れっぱなしだった」と振り返る。進学した工業高校で機械科を専攻し、旋盤加工などを学んだ。就職した電機メーカーでは設計者とメーカーを仲介する部品調達を担当。「本当は現場もやりかった」。ぽつりと話すも、互いの意見をくみ取り、納期に間に合わせるよう工程の優先順位を決めてきた。これまでに付き合いのあった町工場の名刺は、1千枚を優に超える。
○…病院の存在を知ったのは、定年退職後に見かけたチラシだった。「これだと思ってすぐ電話した」。レベルは違うものの、仕事で得た知識と経験を生かせる場に心は躍った。「人が成長する中で、一定期間付き合える友達」とおもちゃを称し、「捨てればごみ、直せば宝物」をモットーに取り組む。仲間同士で修理方法を考え、手先を動かすことで「こちらがボランティアされているような気持ち」。若々しい姿は、おもちゃと向き合うことで童心に戻っているからだろう。
○…6人の孫と遊べるよう、定年後に泉区へ。「おじいちゃんの権威を唯一見せられるのは、孫のおもちゃも直すとき」と冗談めかす。「おもちゃは壊して当たり前。捨てる前にぜひ持ってきてほしい」。子どもと同じ目線に立ち、楽しむ姿を想像しながら修理に励む。
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