4月12日に投開票を控える統一地方選挙。横浜市では県知事選挙、県議会議員選挙、市議会議員選挙が同時に行われるが、市内における直近の選挙では、衆議院議員選挙(2014年)が54・06%、参議院議員選挙(10年)が56・65%という投票率なのに対し、地方選挙は、市議会議員選挙(11年)が46・73%、市長選挙(13年)が29・05%といずれも低迷している。
横浜市選挙管理委員会事務局の担当者は、国政選挙と地方選挙の投票率の差について、「国政選挙はメディアなどでも取り上げられる機会が多く、社会全体の『選挙ムード』が高まるという影響もある」と話す。
また4年前に行われた前回の市議会議員選挙の投票率を年代別に見ると、49歳以下の投票率が全体を引き下げており、20代は30%未満にとどまる。市選管の調査によると、投票に行かない理由は「どの候補者がよいかわからなかった」(30・2%)、「あまり関心がなかった」(15・1%)といったものが上位を占め、「地域社会との関わりの度合いが投票率に反映されているとも考えられる。地域に関心が向くことで、身近な地域の政治に対する関心も高まるのでは」(同担当者)という。
選挙制度のあり方を経済学の手法で分析する横浜市立大学の和田淳一郎教授=写真=は「横浜で投票率を上げるのは現状では厳しい」と話す。
要因の1つに、地域住民にとって最も身近であるはずの市会議員が「遠い存在」になっていることを挙げる。人口約370万人の横浜の市会議員の定数は86で、市民約4万人に1人が議員となる割合。4万人に1人となると、地方の他市では市長レベルになる場合もある。「横浜で自分の地域の議員の名前を言える人はあまりいないのでは」。大都市ゆえに顔が見えづらく、地域に根付くことは簡単ではない。
また、市内に居住しても東京都内に通勤・通学する人にとって、生活圏は横浜にとどまらない。しかし市会議員が取り組むことは市内の問題のため、「彼らが求めることと、議員が取り組む問題にずれがある」と和田教授は指摘する。
一方、ある市会議員は投票率が低い現状に「どんな人でも政治に関心を向ける瞬間は必ずあったはず」と話し、「(特に投票率が低い傾向の)若い人が皆、無責任ということではないと思う。政治側にも責任がある」と反省を口にする。また、投票しない有権者からの「どこに投票しても同じ」「興味のある候補者がいない」という声に対して、「有権者をひきつけられる理由がないのでは」と話す。
市民にとって、最も身近な選挙であるはずの地方選挙。子どもの医療費に関する条例の改正など、地方議会の動向は地域生活に直接影響を及ぼすものだ。だが市選管の担当者は、「どうしたら1人ひとりの意識を高められるのかというのは大きな課題。本来は、地方選挙こそ関心を高めなければならないはずだが」と話した。
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