カラフルなボールが一斉に宙を舞い、校庭を彩る―。 東中田小学校の運動会(スポーツフェスタ)で今年も、1番目の種目として全校児童による「ボール体操」が行われた。各家庭手作りの布ボールを持ちながら腕をのばしたり、手をふったり、ボールを投げ上げるなど、音楽にあわせて身体を動かす。毎年、準備運動代わりに行われているこの体操は、同校の伝統として半世紀近く続いている。
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ボール体操が誕生したきっかけは、『(昭和)45年度の指導要領の改定で、手具体操がクローズアップされたのに伴い、46年5月、当時4年を担当していた田中登志教諭が、費用がかからず楽しく体操できるものはないか、と考え出したもの』(1972年9月21日神奈川新聞)と当時の記事は伝えている。年々児童が増えて1300人近く(現在は約580人)にもなったことから、狭い校庭でも運動不足にならないよう全校でできる体操として考えられた「苦肉の策」だったという。ボールは各家庭にある布切れで作ってもらうため、費用はかからない。1人1個のボールが行き渡ることで全校児童が一斉にできる取組みとして、市の教育委員会も評価していたようだ。現在、校長室前に掲げてあるこの新聞記事が、ボール体操に関する唯一の資料となっている。
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布ボールのサイズは直径17・8cmと低学年でもつかみやすいサイズ。中に布の切れ端を入れたやわらかい感触で、当たっても痛くない。「自分のボール」という嬉しさもあり、どの学年の児童にも人気だという。
近年、布ボールの出番は運動会など年に数回程度だが「せっかく手間をかけて作っていただいたボールなので、体育の時間などでも積極的に活用できれば」と芝フク代校長。また、同校の卒業生で現PTA会長を務める鈴木正男さん(39)は、休み時間に布ボールで遊んだ思い出を懐かしみながら「自分の子が入学した時にまだボール体操があると知って驚いた。東中田小の伝統が受け継がれているのは嬉しい。今後もぜひ続けて欲しい」と話している。
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