2014年度の泉区区民意識調査によると地域活動への参加率は25%。活動の中核は60代・70代が多く、若者の参加が少ないことが課題となっている。そんな中、宮の台町内会(御園生貞雄会長)では幅広い世代が参加しやすいよう、防災訓練に運動会の要素を組み合わせた独自企画を昨年から実施している。
地域活動の参加者の中心は昔から参加を続けてきた高齢者が多いが、高齢になり参加しなくなる人も徐々に増えてきている。宮の台町内会でも年々盆踊りの踊り手が減っていくなど、行事への参加者減が不安視される一方で、毎年約150人が安定して参加する運動会と防災訓練は地域の顔をつなぐ大切な機会となっていた。
しかし、昨年春に会場として利用していた宮の台幼稚園のグラウンドが分割されたことで継続が危ぶまれた。このままやめてしまう訳にはいかないと役員らは話し合いを重ね、当時の副会長の提案で中田宮の台市民の森が新たな会場候補に挙がった。早速、森の愛護会や市環境創造局に話を持ちかけ、許可を得た。開催にあたり、今後も参加率を高く保つためには高齢でも参加しやすく、若い世代も楽しめる内容にすべきと新たな企画を模索。そうして誕生したのが年齢にかかわらず楽しめ、いざという時に役立つ「ユニーク防災訓練」だった。
火災時の避難をイメージし、ビニールシートの下をくぐるパン食いゲームに、運動が苦手な高齢者も参加しやすい防災クイズ。より実践的な水消火器を使ったストラックアウト(的当て)や毛布を使った担架運搬の競技も実施した。参加賞として防災グッズを配り、最後は話をしながら皆で弁当を食べる。「こうやって世代を超えて顔なじみが増えていくことで、災害時もご近所パワーで助け合いができるはず」と御園生会長は期待を寄せている。
新たな試みだったため、人が来なくなるのではと不安もあったが、参加率は例年通りで、まずはひと安心と御園生会長は話す。これまでの訓練以上に参加者からは笑顔が見られ、楽しかったという声が多数寄せられるなど、想像を超える好感触だったという。
住民の参加をさらに促すにはより工夫が必要と話し、ゆくゆくは参加率アップも目指したいというが、「まずはこの行事を地域に定着させることが先決」と冷静。10月には、炊き出しをメインとした防災訓練を開催し、再び皆で食事をしながら、さらに地域の絆を深める予定だ。
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