高齢化が進む中、シニア世代による起業が増加している。仙台市を筆頭に自治体が支援事業を行い、横浜市も昨年から支援に乗り出した。市内におけるシニア起業の現状を追った。
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中小企業白書(2014年版)によると、全国の起業家全体に占める50歳以上の割合は1982年の23・0%から2012年には46・7%と30年で倍増。それに合わせ、シニア世代を対象としたセミナーなども各地で開催されている。
こうした状況を踏まえて市は昨年、概ね50歳以上を対象にシニア起業セミナーとスクールを初開催。セミナーは起業の動向や特徴などを知り、スクールは起業に必要な心構えや事業計画書の書き方など、具体的な知識や作業を学ぶ内容だ。
参加者は各40人ほど。「横浜は参加者が多く、関心が高いと感じた」と話すのは講師を務め、全国各地でシニアの起業に関する講演などを行う銀座セカンドライフ株式会社の片桐実央社長。終了後に市が行ったアンケートによると、参加者のうち23%が実際に起業したという。
シニアと自治体双方に利点
起業はシニア世代にとってやりがいの発見や社会参加につながる一方、市にとっては知識や経験が豊富なシニア世代が働き続けることで地域経済の活性化へ寄与することが期待できる。片桐社長によると近年のシニア起業家は社会への恩返しという意識が強く、自らの採算よりもやりがいを重視する人が多いという。
資金面でも市はこれまでより利率の低い「シニアおうえん資金」という融資を設け、起業しやすい環境づくりにも注力する。融資を行う横浜市信用保証協会によれば昨年度のシニア向け融資は22件。今年度は7月5日時点ですでに9件に達し、前年度を超える勢いだ。
今年は市に加えて、神奈川県もシニア向けの起業セミナーとスクールを企画。起業支援事業がますます広がりを見せている。 (続く)
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