泉区伝承の人物・泉小次郎親衡や飯田五郎家義らにスポットをあてた郷土史『信州上田そして横浜市泉区にみる諏訪系武士団の系譜』がまもなく完成する。著者は上飯田町在住の翠川宣子さん。歴史探訪の仲間や地域住民らの協力を経て、約30年かけてまとめた1冊だ。
同冊子では、泉中央公園にある「馬洗いの池」などで知られる泉小次郎親衡や『吾妻鏡』に登場する飯田五郎家義らを中心に、B5版約100ページにわたる解説と考察がたくさんの資料や写真とともにまとめられている。
執筆にあたり翠川さんは、泉区で代々暮らす地元住民の家に残された資料やアルバム、図書館などで保存されている歴史書や地図をかき集め、さまざまな観点から何度も検証し続けた。「インターネットはもちろん、情報は色々と出てきたが、それが正しいものだとは限らないから」。いくつもの資料を照らし合わせるうちに、泉小次郎親衡の館跡について、これまでの伝承と異なる説も浮上したという。特に読んでほしいというのが、飯田五郎家義の活躍だといい「源頼朝が命拾いをし、逃げ延びることができた最大の功労者」なのだと熱く語る。
「同郷」がきっかけ
そもそもの始まりは、約30年前のこと。泉区伝承の泉小次郎親衡が自分と同じ長野県出身と知ったことだった。「彼にまつわることを正しく記録したい」との思いから、泉区の歴史を詳しく調べるようになったという。
調査にあたり、自身も会長を務めた「泉区歴史の会」の仲間や歴史講演を行う川戸清氏、そして地元住民や寺院らの協力が大きな支えとなったと振り返る。「地の人たちは、貴重な資料をもとに、非常に熱心にたくさんのことを伝えてくれた。教わりながら勉強してきたこの30年の間に亡くなられた方も多い。お世話になった皆さんへの感謝のメッセージとして、この本を完成させたという思いもある」と翠川さんは話す。
2003年にも泉区の歴史をまとめた1冊を製作した翠川さん。当時、「地元調べなどに役立ててほしい」と図書館や小・中学校に冊子を寄贈しており、今回も同様に区内各所に届けるつもりだ。「教科書には出ていないけれど、地元の人にこそ知ってほしい。今後私がいなくなった時にも資料として生かしてもらえたらうれしいですね」とほほ笑む。一般向けには、今後、泉区役所の売店で販売する予定だという。
本に関する問い合わせは翠川さん【電話】045・803・9969。
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