横浜市が2019年度に策定した「自殺対策計画」の中で養成を強化している「ゲートキーパー」。3年間で約1万2千人増加したものの、自殺者数は増加傾向にあることが分かった。コロナ禍で対面機会が減り、ゲートキーパーの「強み」が生かせないという課題に直面している。
人口動態統計によると、横浜市では1998年に自殺者数が急増し、翌年には792人と過去最多となった。2010年以降は減少傾向となっていたが、19年は490人、20年は550人、昨年は574人と増加に転じつつある。
「横浜市自殺対策計画」が策定されたのはコロナ禍前の19年。その中で、悩みを抱える人の変化に気付き、適切に声をかけることなどを通じ、自殺を未然に防ぐ「ゲートキーパー」を23年度末までに1万8千人養成することが盛り込まれている。
新たに約1万2千人
計画スタートから3年、この期間中に自殺対策研修を受講し、新たにゲートキーパーとなったのは1万2391人。20年以降はコロナ禍で対面講座の開催が困難な状況となったが、講師を派遣する出前講座やオンライン講座の回数を増やすなどし対処。
市担当は「養成は計画に沿った形で順調に進んでいる」としている。
対面機会奪われ
ゲートキーパーの数が増えている一方で、自殺者数は増加傾向にある。その要因のひとつとして考えられるのが、コロナ自殺とされている。計画が策定されたのはコロナ禍前、身近な人とも会うことがはばかられる事態となり、言わば死の入り口に立ちふさがる「命の門番」とも言える存在のゲートキーパーの強みが抑え込まれる格好となった。
市担当は「悩んでいる人の変化に気付ける人が増えることで、最悪の結果を回避できることにつながるはず。もどかしさも感じるが、引き続き養成を続ける」とした上で、「年明けから次期計画策定へ向けた動きがスタートする。しっかりと検証し、コロナ時代に即した形を模索したい」としている。
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