ピアノ調律師として無償での学校のピアノ調整にも取り組む 横山 彼得(ペテロ)さん 緑園在住 62歳
ピアノの「歌声」を子どもに
○…緑園の(有)ピアノクリニックヨコヤマで代表を務めるピアノ調律師。社名は「他の人がさじを投げたピアノも見捨てない」という強い意志を込めて35年前に付けたものという。「単にチューニングするだけじゃなく、音色まで調整するのが調律師」。国内外のピアニストから厚い信頼を受ける一方、学校や幼稚園に出かけ、無償でのピアノ調整も続けてきた。「子どもたちには良い音を聴かせてあげたいから」
○…20代の頃は国内のピアノメーカーに勤め、日々多くの件数をこなさなければならなかった。ピアノともっと向き合いたいと27歳の時に独立し、コンサートホールに通っては先輩調律師の技術を目と耳で学んだ。収入源は夜中のファミレスでのアルバイト。そんな中でオーストリアを代表するピアニストのイェルク・デームスと出会った。同氏に「ウィーンに来てくれ」と請われ、自宅や別荘の調律を任された。欧州の音楽にふれ、感性をさらに磨いた。
○…熊本県出身。父のレコードから聴こえたクラシック音楽が心地良かった。中学のブラスバンドではトロンボーンなどにもふれたが、ピアノは苦手だったという。そのため音大進学は諦め、「表現者になれないのなら陰で音楽を支える人になりたい」と様々な仕事を模索し、ピアノ調律師という天職と出合った。
○…「子どもの頃、ピアノの音がイヤだったんです」。学校をはじめ、日本の多くのピアノが調整されている音色(おんしょく)が苦手だったと明かす。「そのピアノが出したがっている音を探って調整すれば、ピアノは歌うようになる」。温かく豊かな響きを、子どもの頃に聴いていたらもっと好きになれたのに――。そんな思いが今の子どもたちへ注がれ、原動力となり続けている。
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