「保険料の還付がある」
区内で独り暮らしの80歳代の女性Wさん。自宅固定電話に「累積保険料の還付がある」と連絡があった。信じて手続きを進めた結果、数百万円が自分の口座から消えていた。「あっ!と思って口座を止めたけど、残高がゼロの口座もあった」
詳細はこうだ。8月9日午前11時ごろ、Wさん宅に「1万8695円の累積保険料の還付があります」と電話があった。「事前に決定書を送ってあります。薄い青色の封筒です。ありませんか」と聞かれたWさんは「探してみます」と答え、探している間に再度電話が鳴り、「今なら電話でお振込みの手続きができます」と言われ、金融機関名や口座番号などを教えて電話を切った。
続けて金融機関を騙る男から電話があり、「どうしても入金ができません。念のため暗証番号も教えてください」と言われ、暗証番号も教えてしまった。続いて「カードと通帳が新しくなります。ほかの金融機関のカードもありましたら変更しておきますので」と言われ、当日午後4時ごろに受け取りに来た男に、カード3枚と通帳1冊を渡してしまった。
Wさんが詐欺と気づいたのは10日ほど経った1本の電話がきっかけ。金融機関から「最近、いつもと違い毎日のように引き出していますが何かありましたか」と連絡を受け、「あっ詐欺だ」とすぐに口座を止めたが、すでに数百万円が引き出された後だった。
優しく丁寧な口調
Wさんは電話でのやり取りを「優しい口調で丁寧に説明してくれて、詐欺だとはまったく思わなかった」という。一方で「今冷静になって考えると、丁寧なんだけど、矢継ぎ早に会話が続いていた。これは私に考える時間や質問する隙を与えないようにしていたのかも」と振り返る。
事件後、Wさんは眠れない日々が続いた。子どもたちに事件のことを話し、少しずつ日常を取り戻しているという。電話番号は変更し、録音機能が付いた機器を取り付けた。
「犯人と話してしまったら騙される。相手はプロの詐欺なので、『私は大丈夫』は通じないと思う。優しく丁寧な言葉が続いて気が付いた時には騙されてしまう」とWさん。「騙されないためには、留守番機能や録音機能が付いた機器を積極的に使って、話さない方法を取るべき」と呼び掛ける。
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