宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発した小型無人探査機「SLIM」が1月20日に月面着陸に成功した。日本が無人探査機を月面着陸させたのは初めて。機体が最小燃料で着陸できる軌道の計算式を横浜国立大学の研究チームが導き出すなど、横浜市内の学校や企業もプロジェクトに貢献した。
ピンポイント着陸成功
SLIMの開発や試験はJAXA相模原キャンパスで行われた。計画の主な目的は、目標地点から誤差100m以内の「ピンポイント着陸」。
SLIMは昨年9月に種子島宇宙センター(鹿児島県)から打ち上げられ、1月20日午前0時20分頃に月の赤道南側の「神酒(みき)の海」のクレーター付近に降り立った。着陸直前にメインエンジン2基のうち1基を失うという異常が発生したが、SLIMから分離した小型ロボット「LEV―2」が着陸したSLIMの撮影に成功した。
写真などによるデータ解析によると、着陸目標地点から東側に約55mの場所に着陸したことが明らかとなった。無人探査機を月面着陸させたのは旧ソ連、米国、中国、インドに次ぐ5カ国目だが、目標地点から100m以内の場所にピンポイント着陸させたのは世界初の快挙。
SLIMのプロジェクトにはJAXAのほか、横浜国大などの研究チームも参加。同大はSLIMが最小燃料で月に着陸するための計算式を導き出して提案した。プロジェクトのメンバーで、同大大学院の上野誠也名誉教授によると、小型無人探査機は積める燃料の量が限られるため、最小燃料での飛行が求められるという。
SLIMには古河電池株式会社(保土ケ谷区)が開発・製造した宇宙用リチウムイオン電池が搭載。日陰により太陽電池パネルからの電力供給が停止した際や、月面着陸フェーズで想定された約20分間の降下中に電力供給の役割を果たした。着陸後はSLIMへの電力供給を行い、地球との通信を支えた。
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