福岡市で発生した診療所火災を受け、横浜市消防局が市内の病院・有床診療所に対する特別査察を行った。結果、247施設の内7割を超える178施設で消防法令の違反を確認した。同局は「対象施設へ改善計画の提出を求め早急な是正を促す」と話している。
10月11日未明に発生した福岡市の火災。防火戸に不具合が生じ閉まらなかった事などが原因となり入院患者ら死者10人、負傷者5人を出した。
市消防局はこれを受け、10月15日から25日にかけて特別査察を市内全ての病院134施設と、入院用ベッド数19以下の有床診療所113施設を対象に実施。施設の消防用設備が、市の火災予防条例を含めた消防法令に違反していないかを査察した。
その結果、約7割の施設で違反が見つかった。内容は、防炎カーテンなど「防炎物品の未使用」といった違反が62施設と最多。次に、火元責任者や夜間の防火管理などを市に示す消防計画の「未作成・未変更」57施設などが続く。さらに、「防火戸が開いたまま」(11施設)、「自動閉鎖装置不良などで完全に閉まらない」(21施設)なども確認された。
早期の改善促す
このほか、室内をパーテーションや高く物が積まれた棚などで仕切ってしまうことで、自動火災報知器やスプリンクラーの散水に障害を招いてしまうなど、設備管理に対する違反も多く確認されている。増改築した建物には、新たな対策を取ることが必要な場合もあり、「施設側の認識不足は、重大な被害につながる恐れがある」と指摘し、指導を徹底する考えだ。
市は現在、違反を確認した施設に対し通知書を交付し、20日間の期限を設けて改善計画の提出を求めている。また、是正意思が確認できない場合は、警告や罰則を視野に入れた措置命令を出す方針だ。今後は提出された改善計画を踏まえて、今年度中に追跡調査を行うとしている。
「今回の査察では、施設側が日常的に注意を払うことで改善できる点も多く見られた。命が守られるべき施設での火災を未然に防ぐためにも確実な是正指導に努めていきたい」と市担当者は話している。
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