泉消防署の第13代署長に就任した 有賀太重(たいじゅう)さん 戸塚区在住 57歳
「一署懸命」に舵を切る
○…着任日の4月1日、署員に向けて贈った言葉は「一生(所)懸命」ならぬ「一署懸命」。市民の命を守り防災に強いまちづくりを担う立場として、署員が一丸になるという強い思いを込めた。「泉区は自然豊かで人情に厚い。地域の防災意識も高く、周りからは良い場所で仕事ができるねと言ってもらった」と笑顔を見せる。消防士歴35年。多くの現場経験を生かし、心機一転スタートした。
○…瀬谷区出身。子どものころ友人に「ガキ大将」がいて、「自分はどちらかというと、その参謀役」と懐かしそうに振り返る。「周りの状況を一歩引いて判断していたと思う」と謙虚に分析する。高校生のときに映画館で見た「タワーリング・インフェルノ」(1974年)主演のスティーブ・マックイーンに憧れを抱いたことや、隣に住む消防士の仕事ぶりを間近で見ていたことなど、きっかけが重なり、消防士の道へ。
○…横浜市消防局に22歳で入局し、市内10カ所の消防署で消防隊や救急隊として駆け回った。10年から4年間は総務部施設課長として消防施設の建設などに携わった。完成するまで20年かかった青葉台出張所は東日本大震災の影響で物資調達が遅れ、工事の延期で苦労した。「無事に出来上がった建物を見て本当に安心した」と当時の心境を明かす。さらに、震災時は消防車や救急車が深刻な燃料不足に陥ったため「すぐにやらなければ」と災害時、緊急車両に燃料を供給する給油所や燃料補給車の整備に奔走した。
○…長期休暇は夫婦で日本各地を巡る大の旅行好き。「毎年変化があって面白い」という北海道の富良野や美瑛、春や秋には京都に足を運ぶ。各地で撮った写真はカレンダーにして、署長室のデスクに飾る。「消防は市民に必要とされる仕事であり、自分たちにしかできないということに誇りを持つ。この思いを皆で共有したい」。全体の力がまとまるよう、精一杯舵を切る。
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